第6話 テクニシャン

 そして誰もいない保健室の鍵は、先生の手により造作もなく開かれた。


「今日はセキュリティの当番でな。マスターキーを持ってるんだ」


 半ば強引に連れ込まれた部屋の中には、白いシーツに覆われたベッドが鎮座している。


「え~先生……わ、私的には、特に具合が悪いワケでもないのですが……。ここで、今から何が……?」


「ふむ、誰にも見られていないようだな」


 保健室の外を慎重に見回したチトマス先生は、すぐさま後ろ手で内側からロックを掛けた。その乾いた金属音とマジな目つきで、いよいよ私は覚悟を迫られるのだった。


『ヤバいヤバいヤバい……どうしよう……心臓がバクバク』


「どうした? お前らしくないじゃないか。まあ、ベッドにでも座って楽にしなよ……」


「は、はい~」


「そんなに緊張してると、私にまで伝わってくるじゃないか」


 そう言うが早いか、あっと言う間にベッドの上に押し倒された。あまりの早業に声も出ない。のし掛かって来る先生に、柔道の袈裟固めにされたのだ。


「いゃあ! ちょっと先生? 先生!」


「何だ? 横四方固めの方が良かったのか?」


 先生の息遣いが首筋にまで伝わり、次第に全身の力が抜けてゆくのを感じる。


「先生、痛い……もっと優しくして下さい!」


「何言ってんだ……」


「へっ……?」


「優しくするのは、お前の方じゃないか」


 そう言いながら先生は、膨らんだブラウスのボタンを上から順にゆっくりと外し始めた。重力に引かれた豊かな胸が、黒のシックなブラからはち切れんばかりに主張してくる。


「……さあ、揉め!」


「ええっ?」


「どうした、マッサージしてくれるんだろう? 好きなだけ揉むんだ」


「そ、それでは遠慮なく」


 言われるがままに、震える右手で先生の豊満なバストに触れてみる。解析結果はトップが90、アンダーが70のEカップで、約500グラムだろう。


「こら! その手つきじゃ、全然気持ちよくはならないぞ!」


「何せ初めてで、すみません」


 大人のリードとでも言うのだろうか。腕を枕にしたまま体位を変えて、抱き枕のようにされたのだ。

 

 ――わわわ、私の体は悪戯されるのだろうか? そういえば、催眠術を解く方法ってあったっけ?


 

 いつしか体温を共有する頃、私の白い術衣の鎖骨付近にある二つのボタンが外され、一気にファスナーが下ろされると、中のシャツも乱暴に捲り上げられた。


『……ああ、ついに私、憧れの先生と……』


「アマクリン、今度は私がマッサージしてやる番だ……」







 

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