第4話 3日目

今日もアラームに起こされるように布団から出る

昨日の脱走騒ぎを思い出しては少し足取りが重くなるが仕事だと割り切って身支度を整える


身支度が終わり、寮の共用スペースへと向かう途中にふと良い香りが漂う

匂いを辿り歩を進めるとフェリシアがキッチンに立っていた

「あ、セラ先輩!おはようございます、朝ごはん作ってたんですけど先輩も食べます?」

コクリと俺は頷き、コーヒーを作りながら待つ

入社前まで飲んでいたものよりずっと苦いが個人的にはこっちの方が好みだ


半分まで飲んだところでフェリシアが朝食を差し出してきた

簡単なものだったが自分で作るより圧倒的に美味しく、図々しいかもしれないが毎朝食べたいと思いながら口へ運んでいく

ふとフェリシアが俺を見ながら声をかけてきた

「先輩、もし良かったらこれからの食事も僕が作りましょうか?」

思っていた事を当てられて少し驚いたが

正直、料理をほとんどした事がない身としては有難い申し出だった

「作ってくれるのは嬉しいんだが…俺が返せるもの無いぞ?」

「やりたくて言ってるだけなので良いですよぉ?…あ、対価とか気になるんだったらそのコーヒー?ってやつ僕にも淹れてくれます?」

「…そんなので良いなら好きな時に淹れてやるが」

「じゃあそれで決定!って事で、早速頂けます?」


そんなこんなで早速頼まれた俺はコーヒーを淹れて差し出す

飲んだ事がないのか少し目を輝かせながら口をつけたフェリシアだったが苦かったのか渋い顔をしていて少し笑ってしまった

不服そうな顔をされるがキッチンからミルクと砂糖を持ってきて差し出すとすぐに入れて飲み始めた


その後、片付けを終え二人で出社する

また今日も新しい職員とアブノーマリティが入ってくる


昨日に引き続き、セフィラと共に職員が入ってくる

今日は2人同時に入社したようだ

「オレはグレアナ、こよろしくお願いしますね、先輩方」

「…ボク、グレン……」

こちらも自己紹介と挨拶を返し、業務開始のアナウンスが流れる


今日も管理人からの指示に従って作業を進めていく

今日のアブノーマリティは

”捨てられた殺人者”

随分と物騒な名前の奴が来てしまった…

全身を拘束された姿を見るに危ない奴なのだろうか?

とりあえずは指示された作業をこなして収容室を出る


それぞれ指示された収容室へ向かい、作業を終えては戻ってきてを繰り返しているとまた収容違反の警報が鳴る

罰鳥が脱走してきたようだ、正直そこまで致命的なダメージを与えてくる訳では無い為、大丈夫ではあるのだが痛いものは痛い…


グレアナはグレンを守るように立つが今回は俺を突く事で満足したのか早々に帰っていったようだ

フェリシアは心配しながら出た血を拭ってくれ、グレンは心配そうに寄ってきた

グレアナは心配しながらも不安そうにしていたので

”なにかあったとしても先輩である俺らが守るから安心しろ”

と撫でてやるとフェリシアが

”ずるーい!僕も撫でて!”と寄ってきたり、グレンも袖を引いては頭を差し出して来たりと少しほのぼのとした空気が漂った事で癒されたのか不安そうな顔が晴れた気がした


しばらくして再び収容違反の警報が鳴った

また罰鳥か?と思っていると違うようだった

”捨てられた殺人者が脱走、職員は速やかに鎮圧してください”

渡された武器を持って指定の場所へ駆ける

収容されていた時の見た目と頭部が変わっている

武器を構えると自然と使い方が頭へと流れ込んでくる、それに従って武器を振り、攻撃をしていく

殺人者が頭を叩きつけると痛みが走るがそれでも鎮圧をしなければならない為攻撃を続ける

すると体力を削りきれたのか殺人者が倒れる

武器をしまい、二人で疲れを感じながら並んで戻る

出迎えた二人には心配されたが、この二人を守れた事への達成感で満たされた気がした


その後、何度か作業を終えると業務終了のアナウンスが鳴る


新人二人を連れて寮へと戻りながら少し雑談をしては夕食を食べ、泥のように眠る

今日は鎮圧があったからか疲れてしまったようだ

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ロボトミ自職員メモ 天宮龍虎 @Amamiya_Ryuto

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