第9話

「「ハナ」」




俺とトラはそんなハナの姿を目に焼き付ける。



自分をイジメていた奴らに……


イジメられたからやり返しただけなのに……


自分から謝らなければならないなんて、本当は嫌で嫌で仕方がなかっただろう。



それでもハナは謝った。



間違いなく、俺達のために。



安心で安全な教会ここに俺達が居れるように。




謝れたハナにババァが穏やかに笑う。



だが




「フッ…フンッ!!」



「そうだよ!!お前が悪いんだっ!!」



「謝ったってっっ」



「「あ??」」



「「「ヒィィィィッ!!??」」」





ハナが必死に謝ってるっていうのに、なんだ?コイツら。



我慢の限界だった。


凶悪な表情で俺は指をボキボキ鳴らしながら、クソ餓鬼3人の元




「こんっのバカタレ共っっ!!」




ゴンッゴンッゴーーーンッ!!




俺とトラがヤるより先にババァの拳骨が奴らに炸裂した。




「「「いだぁぁああああっっ!!」」」




床を転げ回る3人。




「「「……」」」




あれ、痛いんだよな。


ババァの骨だらけの手のせいか、滅茶苦茶痛いんだよな。



今ではないけど、俺たちも何度もくらっているからわかる。




「元はと言えばアンタらが悪いんだろう!!アンタらもきちんと謝りなっ!!」



「「「ごめんなさーーーいっ!!」」」




叫ぶだけ叫んで、3人組は教会から出ていった。



正直、全然ヤり足りないが……




「ハナ」



「ハナ謝ったよ!!これで良い!?レオもトラも出ていかないで良い!?」



「ああ、良いよ」




良く頑張った、そんな風にハナの頭を撫でたババァも教会を出た。




「ハナ」




ハナを呼ぶと、勢い良くこっちを見たから両手を広げれば、弾丸のような勢いで飛び込んできた。




「うわぁぁあああんっ!!」




そして泣き出した。



そんなハナをトラが後ろから抱きしめ、俺達は隙間がないくらいキツく抱きしめあった。



自分は悪くないのに謝らないといけない。


苦しかったろうな。


悔しかったろうな。




「「ありがとう、ハナ」」




俺達のために。



そう言うと、ますます泣き出したハナを俺達は泣き止むまで抱きしめていた。

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