第6話

秘密の場所から、誰にも見られないように離れ下に下りれば……。



ババァが居た。



教会に来いと言うので、面倒ながら教会に行けば



鬼ババが仁王立ちしていた、教会のど真ん中で。



それを見たハナが「う"う"……」と呻きながら俺の背中にしがみついてくる。


ババァの視線から逃れようとする。



いや、もうバレてるから。


隠れても無駄だから。




「ハナ」




呼ぶけれど、嫌々と首を振って動こうとしない。




「ハナ」




ババァも呼ぶ……が




「ハナは悪くないっ」




ギッと自分をイジメてきた奴らを睨みながら言う。



おお……居たのか、気付かなかったわ。



教会の端の椅子に身を寄せて座ってる3人組。



ハナとトラを恐れてか、全然こっちを見ない。




「レオ」



「!!レオも悪くない!!」




どうにかしろとババァに呼ばれれば、俺が怒られると思ったのかハナが出てきた。



俺の前に立ち庇うように両手を広げて、ババァを睨む。




「トラも悪くない!!」




俺の隣に居るトラも庇おうとするが、小さな体では無理で。


言葉で必死に訴える。




「いや、お前とトラは悪いだろ」



「!!」




ババァが言う。



ま、アイツらが悪口で、ハナとトラは手をだしたからな……トラは足だが。



ここでは……この教会では手を出す……暴力は禁止だった。




"外"ではあんなにも暴力が蔓延っているのに。



暴力の中で生きてきた俺とトラは驚いた、ココで生活を始めて。



"教会"限定だが、こんなにも平和な場所があるのかと。



傷つけられず、腹の減らない場所が。






「お前達、こっちに来な」




ババァが3人組を呼んだ。

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