第4話

「「ハナ」」




屋根に1人ポツンと座るハナを呼ぶと、ハナは弾かれたようにこっちを振り返る。



そのあまりの勢いの良さに




危なっっ、落ちるぞ!!



とっさに手を伸ばすと、ハナが俺の胸に飛び込んでくる。




大きな黄金の瞳に涙いっぱい溜めて。



俺はなんとかハナを受けとめるも、なにしろ足場が最悪。



受けとめた衝動で傾いた体を直すことが出来ず、俺とハナは地上約5階から宙へ……。




「のぁあああああっ!?」



「レオッ!!ハナッ!!」




トラが手を伸ばしてくれるが、その手を取ればトラまで。



俺はその手が取れないまま、ハナをしっかり抱きしめた。




せめてハナだけでもっっ。




『マスター』




久しぶりにそう呼ばれた。



そして強い強い竜巻のような風が吹き、俺とハナの体は屋根の上へとペイッと戻された。




「レオッ!!ハナッ!!」



「ててて……。大丈夫だ、トラ」




慎重に寄ってくるトラも抱きとめハナを見ると、涙が引っ込んだ黄金の瞳が鮮やかに光ってる。



"力"を使った証。




「ハナ」



『緊急事態でしたので、お許しを』




そう言って大人びた微笑みを浮かべたハナだったが、すぐに瞳の光は失せ……




「ハナは悪くないっ!!」




と俺達を見て叫んだ。




それは今、力を使ったことへのことなのか、虐めてきた奴らを殴ったことへのことなのか。




俺とトラは顔を見合わせ




「「アハハハハハハハハハッ!!」」




笑った。

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