第224話
そんなこと、初めて言われた。
ビックリしていると
「……そうなった時、立ち向かえる人は極僅か」
「……」
「力では絶対に敵わんし、暴力を振るわれればもうダメやんな」
恐くて、恐くて。
抵抗する気力は失われ、これ以上酷いことをされないように……諦める。
わかる。
あたしもそうなっていた……。
八雲さんが居なかったら。
ずっと、ずっと教え続けてくれた。
言い続けてくれた。
"屈するな。己を襲う理不尽な暴力に"
「そうか。その人は本当にお嬢ちゃんが大切なんやね」
八雲さんの話をすると、そう言われる。
そうなのかな……。
そうだと嬉しい。
「そんで、お嬢ちゃんもその人が大好きなんやな」
「えっ!?」
何故!?
何故わかるので!?
「顔見れば、一目瞭然や」
「のっ!?」
フフッと別嬪さんが綺麗に笑う。
この人も……あるんだろうか、襲われたことが。
「あるで」
「うぇっ!?」
「が、あたしは返り討ちにしたるよ。ギッタンギッタンにして使い物にならんようにしてる」
底冷えする声で、青い瞳で言う別嬪さんに、知らず体が震える。
……こう言えるようになるまで。
……何度もあったのだろうか。
綺麗な人だから。
「だから、男に……暴力に屈しなかったお嬢ちゃんは強い」
「っっ」
「胸を張り。あんなクソ野郎に、男に怯える必要な全くない」
……そうなのかな。
そっか、怯える必要なんてないのか。
そっか。
「ありがとう、お姉さん」
「どういたしまて」
なんて素敵な人なんだろう。
あたしもこんな人になりたい!!
「お姉さん!!」
「ん?」
「もっとお話ししたいです!!」
お姉さんはあたしの言葉に青い瞳を丸くする。
「ナンパか?」
「はい!!」
「フフッ。そうもキッパリ言われると気持ちええわ。ええよ、話そ」
いたずらっ子のように笑って、頷いてくれた。
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