第222話

めちゃくちゃ低い声に、あたしと男はビクッと体を震わせた。



声だけだと新たな人が現れたのかと思うほど。


けれど、その声は確かにあたしの隣から発せられたもの。




隣……そう別嬪さんである。



あたしはソロリソロリと隣を見、男は限界まで目を見開き別嬪さんを凝視してる。




「っっ」




男の顔は面白かったけど、別嬪さんの氷の如き冷めた青い瞳に固まる。




お……お……お……。




『男のクセにガタガタと喧しい。そのよく話す舌をブチッと引っこ抜かれたくなかったら黙っとき』



「「~~っっ」」




お?と無表情で首を傾げる別嬪さん。



こっっ恐い。



不本意だが、さっきから男と行動がシンクロしてる。




「なななな」



「とっとと汚い寝床に帰れ。そんでもって今度またこの子に声かけたら……殺すで?」




別嬪さん!!



ギラリと青い瞳が獰猛に輝く。




「はぃいいいいいいっ!!」




弱っ。


男弱っっ。



スタコラサッサと逃げていく男。



その後ろ姿のなんとも情けないこと。



……あたしはあんな奴に怯えていたのか。


……あたしも弱く情けないな。



不甲斐なさ、そして男が居なくなったことへの安堵から体の力が抜け……




「おおっと」




カクンと膝から崩れ落ちそうになったところを別嬪さんが腰に腕を回して支えてくれたからなんとか倒れずに済んだ。



……が。



わわわわわっ!?



キスが出来そうな距離なのですが!?




「よう、頑張ったな」




目が合うとそう言ってくれて、別嬪さんはそれはそれは妖艷に美しく微笑んだ。




「っっ」




ごごごごごごごごめんなさいっ八雲さん!!



あたし、この別嬪さんに惚れてしまいそうです!!














「アカーンッ!!」



「突然の関西弁!!」



「やっくん!?」



「急に叫ぶなっ」



「世界っ一関西弁の似合わないっ男だな、オイ。アハハハハハハハハハッ!!」



「桂が爆笑だと!?」

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