第221話
覚悟して、ギュッと瞳を閉じた……
その瞬間
「お兄さん。嫌がる女の子を無理矢理とか、そらアカンやろ」
「え?」
「は?」
男とあたしは間抜けな声を上げる。
いつの間にかあたしの横には
「「!!」」
もっっの凄い別嬪さんが立っていて、あたしに伸ばされていた男の手を掴んでいた。
「うほっ!?」
「ゴリラ?」
「あわわっ、違いますっ違いますっ!!人間ですっ」
ビックリしてすぎて、ゴリラみたいな声を出してしまった……。
てか人間ですって、説明するまでもないのに……。
恥ずかしいっ。
そんな別嬪さんはあたしの答えに笑って、男の手をペイッと放す。
恥ずかしさのあまり、真っ赤になった顔を両手で隠しながら、コッソリ別嬪さんを見る。
サラサラの艶やかな背中まである黒髪。
形の良いアーモンド型の瞳は、晴れた空のように澄んだ青色。
通った鼻梁にふっくらした赤い唇。
黒髪に映える白い肌。
服の上からでもわかる、絶妙なプロポーション。
国籍不明の美女。
……神よ。
恨んでもいいかな、神よ。
自分と美女とあまりに違いすぎるだろーっ。
本当に同じ人間か!?
おもわず天を仰ぐ。
そんなアホぅな行動をしている間に、男の目はもう別嬪さんしか映っていなくて。
ホッとする。
しかし、男の標的が別嬪さんになったということ。
巻き込んでしまった。
どっ、どうしよう!?
あたしのせいだっ。
なんとかしないと
「無理矢理なんて言い掛かりもいいとこだよ。美しいお姉さん」
ニヤーッとイヤらしく笑う男。
「……ほう?」
「ね?お嬢ちゃん」
急にあたしに振ってきて、頷けとばかりに睨んでくる。
無理矢理だったでしょっ。
口……では否定出来なかったけど、首を振って"嫌だ"と示したものっ。
「……っっ」
けれど、男を前にあたしは話せなくて……。
男は、ホラな!って顔で勝ち誇ってる。
……悔しいっ。
グッと唇を噛み締める。
けれど
「大丈夫。大丈夫や、わかっとる」
そんなあたしの様子に気付いてくれた別嬪さんが優しく笑ってポンポンと背中を叩いてくれる。
「ハァ!?何がわかったって!?証拠もなく人を疑うんじゃ」
『オイ』
「「!!??」」
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