第220話
八雲は歯をくいしばった。
だよな、わかってんだよなお前は。
わかっててもやってしまう程、チビが心配なんだよな。
「……すみません凛さん。お前らも悪い」
凛さんに頭を下げ、怒鳴ってしまった蓮、桂、麻也にも謝る八雲。
3人は、気にするなというように黙って八雲の背中を叩く。
「あたしこそごめん。八雲の言う通りよ。まだ一人は早かったんだわ……。一緒に行ってあげてれば……」
パンッ!!
「「!?」」
可愛い顔をキリリと引き締めた麻也が手を叩く。
八雲と凛さんの目を覚まさせるかのように。
澄んだ音が響く。
「ここでゴタゴタ言っててもしょうがないよ」
「麻也」
八雲が麻也を呼ぶが、麻也はそれには答えずに俺を見た。
どうする?と。
もちろん。
「捜しに行くぞ。手のかかる末っ子を」
「「「了解」」」
蓮、桂、麻也は俺の言葉に頷くと直ぐ様"シャーウッド"を出ていく。
態度にも言葉にも出さなかったが、3人もチビを心配してる。
「しっかりしろ」
目を見開いて3人を見送っていた八雲の背中をおもいっきり叩く。
なんて顔してんだよ。
チビの事情は知らん。
けど、お前の大事な子なら俺達も大事で。
さっきも言ったが、もう可愛い末っ子なんだよチビは。
「俺も行くがお前はどうする?」
「あ"?行くに決まってんだろ。ハイネは俺が見つける」
それだけ言うと八雲は"シャーウッド"を飛び出した。
一気に外が煩くなり、すぐに静かになる。
「竜希。あたしも……」
「凛さんはここに。帰ってくるかもしれねぇから。帰ってきたら連絡を」
「……わかった」
「じゃっ」
「竜希」
「ん?」
「ハイネをお願い」
「承知」
不安げな凛さんを安心させるために、笑って頷いた。
待ってろよ、チビ。
今、お兄ちゃんが行くからな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます