ふたりは初めての冒険に出掛けたんだよ

ひゃくねこ

僕たちの冒険

 空高く晴れ渡った秋の日曜日。ふたりの少年が山に*1入る道を前に立ちすくんでいた。

 ひび割れたコンクリートで舗装されているのは、入り口からほんの10mほど。あとはゴロゴロと石が転がる山道。登りは急だし、左手の藪の先は沢だ。

 土石流警*2戒区域にもなっている小さな沢は、サラサラと軽い水音を立てて小川となり、小さな集落を抜けて海へと流れ込む。


 山道はそもそも狭いが、両側から草木が茂り、更に狭く見える。右手からは広葉樹の枝が覆い、よく晴れているのに薄暗い。まるで樹木のトンネルだ。少年たちは今、そのトンネルに入ろうとして少し怖じ気づいていた。


 ふたりの名前は”荒木信一”と”*3野中孝則”。

 お互いを”デコちゃん”、”ボンちゃん”と呼び合っている、小学4年生の同級生。おでこが広い信一が”デコ*4ちゃん”、丸坊主の孝則が”ボン*5ちゃん”だ。


「ねぇ、デコちゃん、本当に登るの?なんか薄暗いしさ~、ちょっと、怖くない?」

「う・・うん、ボクもちょっとだけ怖いけどさ、この山はそんなに高くないしさ、それに、隣のクラスのタケちゃんは友達と3人で越えたんだって!だからさ、僕とボンちゃん、ふたりで山を越える*6って、タケちゃんに言っちゃったから・・」

「え!それでボクとふたりってこと?今それ言う?もう~・・・でも、いっか!デコちゃんとふたりで越えれば、タケちゃんに勝っち*7ゃうもんね!」

「うん!じゃ、行こう!ボンちゃん」


 山道はしばらく沢に沿って登り、ところどころで道が分かれている。


「ねぇデコちゃん、こっちでいいのかな?さっきの分かれ道は間違えて畑に出ちゃったでしょ?」

「あ、さっきの畑?*8うん、斉藤のおじさんとこだったね。まさかあんなとこに畑があって、おじさんがいるなんてね、ビックリ*9した~」

「デコちゃんの知り合いのおじさんだったから良かったけど、知らないおじさんだったらコワイ*10よ」

「うん、今度は気を付けるよ。それに斉藤のおじさん、この道は左に左にって、沢に向かうように登れって教えて*11くれたでしょ?右の道は大体だれかの畑だから入っちゃ駄目だって」

「そうだったね。じゃ、こっちでいいね。安心した」


 ボンちゃんはすっかり安心して左への道を足取りも軽く登り始めた。と、すぐに立ち止まって木の枝を見上げる。


「あ、デコちゃん、あれ」


 ボンちゃんが指差す先には、枝に絡まった蔦からぶら下がる、玉子のような実があった。


「あれ、コッポだね!食べられるかなぁ、まだ固いかなぁ」


 コッポ、地方によってコッコなどと呼ばれる、ムベという蔓性植物だ。

 ムベはアケビに似て、小さくて固い種に纏わり付いた果肉を食べる。アケビのように実が割れることは無く、丸いまま熟すため、食べ頃を見極めるのが難しい。


「う~ん、分かんない。でも、ちょっとお腹すいたし、そんなに高いとこじゃないし、採ってくる!」


 ボンちゃんはそう言うと木にしがみつき、身軽に登ってコッポの実を4つ採*12ってきた。


「ほら、デコちゃんにも、ふたつずつね」

 ふたりはコッポの実を少し揉んで、縦に割った。

「ん~~~~、あまっ!くない!!」


 コッポの実は採ってしばらく置いて追熟させる。採ったばかりのそれは、食べられないほどではないが、それほど甘くな*13かった。


「でもさ、コッポって熟してもそんなに甘くないじゃん?それにさ、よ~く味わうと、なんか、そこはかとなく甘く感じるって言うか」

「デコちゃん、”そこはか”って、なに?」

「え~っと、なんとな~く?」

「じゃ!なんとなくで、いいじゃん!」

「それよりさ!コッポのタネ、どっちが遠くに、飛~ばせ*14~るか!!」

「おお!種飛ばしなら負けないぞ!」


 あまり甘くないコッポを口の中で転がし、唇を尖らせて、黒くて小さな種を飛ばしながら、ふたりは笑った。



「はぁ、はぁ、ねぇデコちゃん、もう1時間くらい登ってるけど、まだ越えられないの?」

「うん、もうすぐだと思うんだけど、だいぶ登ったもんね。ほら、下見て」

「あ、あれ、沢だね。でも、めっちゃ細い」

「でしょ?あれね、もう沢が無くなるとこなんだ。源流?っていうのかな」


 道の左手の2mほど下に、木々の隙間から水の流れが見える。耳を澄ませばチョロチョロと水音が聞こえるが、沢は源流に近づいていた。それは、山の尾根が近いことを示している。


「ね、デコちゃん、沢に降りてみる?」

「え~、危ないよ。結構高いよ?」

「でもさ、あそこの木の枝に掴まって少し降りて、次の枝を掴まえてまた降りて、ねっ!大丈夫そう。それに傾斜も緩いし」

「あ、そうだなぁ。ホントだね、降りられそう」

「でしょ?それにさ、沢の源流だから湧き水でしょ?飲めるんじゃない?」

「うん、ちょっと喉、乾いたしね」


 ふたりは沢に降りて源流ま*15で行くことにした。

 まずボンちゃんが最初の木の枝を掴み、こちらにしならせる。


「よし、これに掴まりながら、ずりずりっと降りれば・・・あっ!!」


 ボンちゃんの足は、枯れ草と枯れ葉の地面を踏んだかに見えたが、そこには隠れた段差があった。ボンちゃんの足は空を切り、木の枝を掴んだ手は、自分の重さに耐えられなかった。

 ボンちゃんの手の平の中で、木の枝が滑る。


「わーーっ!ボンちゃん!!」


 ボンちゃんは、あっという間に沢まで落ちて*16しまった。


「あ~いたかった。デコちゃんは大丈夫だった?」

「うん、ボンちゃんが落ちたから、僕は段差に気を付けて降りたし。それよりボンちゃん、怪我は?」

「うん、手の平を擦りむいたかな。足とかは大丈夫そう。長ズボン履いてきて良かった」

「手?どれ?わっ!血が出てる!!どうしよう!」

「大丈夫だよ、これくらい。でも、ちょっと洗いたいな」

「じゃ、沢の源流まで行って洗う*17?ここの水も綺麗に見えるけど」

「うん、綺麗だけど、やっぱり源流まで行ってみよう!」


 ふたりは沢を遡ったが、やはり源流はすぐそこにあった。剥き出しになった岩盤を苔が覆い、シダ性植物が茂っている。その隙間から、湧き水が滴り、水たまりとなり、そこから流れ出した水が沢になっていた。

 この山は周りを高い山に囲まれている。そこに降った雨が尾根を伝って、周りより低いこの山で湧き水になっているのだ。


「わぁ、やっぱり綺麗な水!!ほらボンちゃん、手を洗って*18!」

「うん・・・おーーー!滲みるーーー!」

「うわぁ、いったそーー!」

「でも、冷たくって気持ちいいや」

「ふぅ、良かった。大したことなくって」

「うん、ごめんね、デコちゃん。僕が降りてみようとか言ったから」

「ううん、いいよ!それにこんな綺麗な湧き水初めて見れたし」

「うん、すっごい綺麗!!飲んで*19みる?」

「おう!飲んでみようか!!」

「・・・」

「・・・・」

「お、おいしい。おいしいね、ボンちゃん」

「うん、おいしい!元気出た!じゃデコちゃん、登ろう!」


 ふたりは沢に降りたところまで戻り、また山道を登り始めた。

 山道の勾配が緩くなり、山越え間近に思える。ふたりの足取りは軽くなっていた。

「ボンちゃん、もうすぐだよ。もうちょっとで山の向こう側」

「そうだね、道もなんか歩きやすいし、この山の向こう側って、○○市だよね。僕たちの市と違うんだよね。行ったことある?」

「うん、買い物とか行ったことある。よし、もうちょっと!がんばろ!」

 そう言ったときだった。ふたりの目の前が突然開け、見たことのない街並みが遠くに見えた。

「うわ!出た!○○市!!」

「おっきなスーパーが見える!あれってイオンモール*20だよね?僕、行ったことある~!」

「でもそれよりさ、デコちゃん、田んぼ、見てよ」

「おおーー、金色の・・・波?」


 ふたりの目に映ったのは、市街の手前に広がる広大な田んぼだった。

 田んぼは山の麓まで広がり、黄金色に実った稲穂が風に揺れている。風の強さに応じて倒れ、そして起き上がる稲穂のリズム、風は幾重にも吹き渡って、広大な田んぼに稲穂の波を作り出す。


 その光景はまるで、金色の海に大波が打ち寄せているようだった。


「なんか、すごいね。ボンちゃん」

「うん、すごい。デコちゃん」

「それにほら、こっちも金色」

「ホントだ」


 ふたりが越えた山の反対側は、ミカン畑になっていた。日当たりの良い山の斜面に、金色のミカンがたわわに実っている。

 ふたりは顔を見合わせて、ふふふ、と笑った。

 夕方。

 ふたりの手には、何個かのミカン*21が握られている。

 途中で食べたミカンの味は、甘酸っぱ*22かった。


 夕焼けが、ふたりの顔を赤く染めて*23いた。


 僕たちの初めての冒険が、もうすぐ終る。


 でもそれは、新しい冒険の始まりかもし*24れなかった。


 僕たちふたり*25の。





 ピピっ


 チェックした事項を確認します。


*1 子供が山に入る際は保護者同伴で、登山届を出す描写が必要です。

*2 土石流警戒区域にむやみに近づいてはいけません。

*3 このふたりは実在ですか?実名は個人情報です。取扱いには十分注意してください。

*4 愛称でも身体的特徴を使うのはNGです。

*5 またですか、愛称でも外見の特徴を使うのはNGです。

*6 思いつきで出来もしないことを言ってはいけません。

*7 タケちゃんに勝つことを目的にせず、平和的な目的にしましょう。

*8 知人とはいえ、他人の土地に無断で入るのは違法です。

*9 おじさんがいてビックリするのは、おじさんに失礼です。

*10 知らないおじさんがコワイというのは偏見です。優しい人もいます。

*11 斉藤のおじさんはふたりを止めるべきでは?大人としてこの対応はどうなのでしょうか?

*12 野生とはいえ、コッポを勝手に採ってはいけません。

*13 勝手に採ったコッポを甘くないとは、失礼にもほどがあります。

*14 口からコッポの種を飛ばすのは不潔です。飛沫感染も心配です。

*15 沢に降りるのはマジ危険です。やめた方がいいです。

*16 ほ~らボンちゃん落ちた。だから言ったでしょ?

*17 沢の水で傷を洗うなんて!寄生虫がいるかもよ?

*18 わ、ホントに洗った!ダメだって言ってるのに~

*19 デコちゃんボンちゃん、飲むの?ホントに飲むの?知らないよ?お腹がピ~ってするよ?途中でゴロゴロするかもよ?

*20 イオンって実名出しちゃダメでしょ。伏せ字にしたら?それに、行ったことあるくらいで浮かれちゃダメでしょ?だから子供だって言われるんですよ?

*21 畑のミカンを採るのは違法ですよ?学校で習わなかったかな?だからね?学校教育はこういうところを大事にしないとね?

*22 だからね?嘘でもね?美味しい甘いミカンだって言わないと!それがね?これからの世渡りに必要なんだから。

*23 夕日でも紫外線はとっても強いんだから、日焼けに気を付けてね。

*24 かもしれない、なんて不確定ではダメ。新しい冒険はもう始まってるよ?

*25 ふたりだけじゃない、これからはたくさんの人と出会ってね。


 ふたりとも小さな冒険、お疲れ様。



 以上がコンプライアンス上の問題がある部分、及び、ふたりの心情をおもんばかった表現への落とし込みが必要な部分です。


 指示に従い、問題の無い設定、及び、表現に書き直してください。



 以上、AI編集Ver3からのメッセージでした。



 うぁ~、まぁ~た書き直しかぁ。


 しかし今どきのAIは、人間っぽくなったよなぁ。


 こりゃ俺の仕事も、そろそろ乗っ取られるのか?


 そうかもなぁ。


 俺、第一世代AI、だもんなぁ・・・




(了)

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ふたりは初めての冒険に出掛けたんだよ ひゃくねこ @hyakunekonokakimono

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