第41話
空港内の視線という視線を集めたアリス達は、空港内からそそくさと出て、近くの喫茶店に入った。
「改めまして、虹村里子です」
アリスと剛の前に世那と並んで座った里子は自らの口で自己紹介をした。
アリスの華のある微笑みとは違う、周囲をほっこりとさせるような微笑みで。
アリスと剛も微笑んで自己紹介をする。
「アリスです」
「剛です」
「お二人のお話しは世那さんから良く聞いてます」
「「……」」
そう言われた二人はジト目で世那を見た。
「ガハハハハハッ」
豪快に笑い飛ばす世那。
「笑い事じゃねぇ」
「……美談が一つもない」
自覚のある二人。
頭を抱える二人。
この二人にも“恥ずかしい”なんて感情があったのだ。
「ずっとお二人に、お姉様・御兄弟にお会いしたいと思っていました。お会いできて嬉しいです」
ズッキューン!!
突然出来た義妹に心を射抜かれる二人。
「妹、良き」
「妹、可愛い」
ウンウンと何度も頷いた二人は……
「何故こんな可愛い子が……」
「ゴリラの嫁に……」
「フフン、羨ましかろ」
「「ぐぬぬっ」」
ゴリラと言われても世那はケロッと受け流し、自慢気に胸を張る。
「世那さんったら」
顔を合わせ笑い合う夫婦に、剛とアリスも顔を見合わせ笑う。
弟が幸せである。
それこそが二人の幸せだから。
「しかし世那、正義のケータイ番号よう知っとったな?うちらよりも先にもう正義に会っとったんか?」
アリスがずっと気になっていたことを聞く。
「いいや、“あの日”から誰にも会っていない」
「じゃあ」
「それは私です」
スッと里子が手を上げた。
「??」
「うん?」
首を傾げる剛とアリス。
私ですとは一体……
「本人から直接聞きました」
「正義?」
「本人からー?」
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