第36話
「いや、てかなんでアイツアンタのケータイ番号知ってんねん」
「ケータイにじゃないよ。診療所の方にかかってきた」
「ハァ?」
「なんで正義がココに居るってわかったんだ?」
「わかんない」
剛の問いにキョトンとした顔をする正義。
そんな正義を
“もうホンマコイツだけは……”
って顔で見るアリス。
「それで?世那はなんて?」
「お金がないから、誰か空港まで迎えに来てくれって」
「「……」」
剛とアリスは顔を見合わせ溜め息をつく。
その心境は、どうしてうちの弟達は金に困ってるのだろう……といったところだろうか。
迎えに来てくれ、と言われたならば行かねば。
“会いたい”から。
「よし、行くか」
「せやな」
「うん!!行こう!!」
ワクワクしている正義だったが
「アンタは留守番や。光愛がおるやろ」
「えっ!?」
「そうだぞ、正義。光愛を一人にするのはダメだ」
伯父バカ炸裂。
「でも僕もっ」
「正義」
「っっ」
剛が真っ直ぐ正義を見る。
その眼力の強さに息を飲む正義。
「アアアア……アリスちゃっ」
正義がアリスに助けを求める。
こうなった剛は怖い。
が、アリスは知らん顔。
触らぬ剛に祟りなし、だ。
「光愛をもう二度と一人にするんじゃねぇ」
「っっ」
「不安に、寂しい思いをさせるんじゃねぇ。お前は光愛のたった一人の父親なんだから」
赤ちゃんだから何もわからないって訳では無い。
全身で色々なことを感じているからこそ、抱きしめることで、側で話しかけてあげることで愛されていると大事にされていると示し続けるのが親の仕事だ。
「……うん。ごめん」
シュン……と下を向いてしまった正義の頭を剛は撫でる。
正義の良い所はきちんと素直に人の話しを聞けるところだ。
「お土産買ってきたから、これ食って待っとき」
アリスが鯛焼きの入った袋を剛に渡す。
「わっ!!やった!!」
その袋を受け取り、パッと笑顔になった正義に、剛とアリスは顔を見合わ
「「現金な奴」」
と笑った。
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