第27話
「剛はオールラウンダーやからな」
「あ?」
「なんでも教わったら一通りすぐに出来てしまうから興味が持てなかったんやろ」
「そんなパーフェクト人間じゃねぇよ」
「んなこと言ってないわ。誰がパーフェクト人間だ。自惚れんな、アホ」
「お前が良いように言うからだろっ」
恥ずかしさに真っ赤になる剛。
プププっと笑うアリス。
「そんなに悩まんでもええよ」
「でも」
「これから嫌って程、やらなアカンことがあるやで?」
「やらなアカンこと?」
「家を見つけたら、四季と凪沙の店の準備もある。手が足らなんだら手伝わなアカンし」
そして、まだ再会していない二人。
この二人が何をしてるか、何になってるかわからないし、世那もいる。
カメラマンの世那と再会することで、あと二人と再会することで興味を惹く何かがあるかもしれない。
「剛は、もう遅いなんて言うけど、なぁーんも遅くない」
やりたいことに早いも遅いもないのだ。
本人の気持ち次第。
「もう1人やない。1人で頑張らんでええ。一緒にやりたいこと見つけていこうや」
そう言って、アリスはニシシッと子供のように笑った。
小さい頃と同じ顔で。
「アリス……」
「ぬおっ!?」
剛が泣き笑いのような表情でアリスを抱きしめた。
「ありがとう」
「うん」
お礼を言われ、ポンポンと剛の背中を叩くアリスだったが
「今の姉ちゃんみたいだったな」
「姉ちゃんや」
1言多い剛の頭をドスッとチョップし
「〜〜っ!?」
「紛うことなき姉ちゃんや」
とアリスが真顔で言ったのだった。
「すみません」
「鯛焼き奢りな」
「うい……」
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