第25話
日比野が男が凪沙に払わせていた借金のお金を
『金は必ず返す』
と男に約束させて、彼の部下が男達を連れて行った。
日比野とも別れ……
「じゃあな、剛。またな」
「なんで剛だけに挨拶すんねん!!はよ、去れ!!」
「大牙さん、また!!」
「お前は見る目を養えって言うとるやろーがっ」
「痛いっ」
頬を染めて、日比野に手を振る凪沙の頭を叩くアリス。
いつの間にか、日比野を“大牙さん”呼び。
「アッハッハッハッ!!」
アリスのツッコミの嵐に豪快に笑う日比野。
「日比野……さん。ありがとう、頼んます」
剛がそう言って頭を下げると、日比野は“任せろ”と言って去っていった。
「じゃあ、僕も仕事の時間だから」
「おう」
「また後でな」
「仕事頑張れよ」
「またね~」
美容院に戻る凪沙を見送り
「僕も診療所に戻るね」
「俺も、婆ちゃん休ませてやらねぇと」
正義と四季が言う。
アリスはてっきり剛も診療所に戻ると思っていたのだが……。
「おう。気を付けてな」
(……剛?)
「剛くんとアリスちゃんはどうするの?」
キョトンと正義が聞く。
正義も剛とアリスも一緒に戻るんだと思っていたようだ。
答えない、というか迷っているような剛に気付いたアリスが
「うちらは、麗華ちゃんが好物件があるって言うからちょっと見てくるわ」
そう言って、剛の背中を押し歩き出す。
「アリス…ッ」
「皆で住める、良い所だと良いねぇ。あっ、お土産よろしく!!」
「お土産て、旅行に行くわけでも」
「じゃっ!!」
自分の言いたいことだけを言って、正義は四季の手を引き駅へと向かった。
(アイツ……)
後で必ず正義をシバこうと心に決め、アリスは剛に言う。
「行こか」
「……おう」
背中を押すのを止め、正義達とは逆の方に歩き出したアリスの後を少し遅れて剛が追った。
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