第22話

「姉兄弟がお世話になってます」




凪沙が日比野に深々と頭を下げる。




「「「いやいやいやいや」」」




お世話になどなっていないと全力で首を横に振るアリスと剛と四季。



むしろ被害者……。



放置されている正義。




「凪沙ちゃーん……」



「ほれ、もうアンタはあっちに行き。正義の髪、最後までやり」



「ちょっ、ちょっ!?」




アリスが凪沙の背を押し、正義の元へ。



嫌がる凪沙。




「まだっ、まだ名前っ」



「ん?俺の名前か?」




凪沙の言葉に反応する日比野。




「聞いてへんっ!こっちに来るなっ!」




アリスを無視して日比野は凪沙の前へ。




「えっ!?」



「「「!!??」」」



「えっ!?何!?見えないんだけどっ!?」




正義、一人だけ除け者で大慌て。



しかしそれには誰も反応せず……。



日比野が膝まずき凪沙の手を取るのを凝視し




「「「おおーっ!!」」」




美容院の従業員達は感嘆の声を上げた。



その光景はまるで、姫に忠誠を誓う騎士のようで。



一枚の絵画のようであった。




「あっ、あのっ」



「お嬢さん」



「「「「「お嬢さん??」」」」」



「私の名前は日比野大牙だ。以後よろしく」




手に口付け…とまではいかないがウインクする日比野。




(((うげぇ…)))



「僕は……」



「僕??」



「凪沙って言います」



「凪沙、良い名だ」



「れっきとした男です」




突然のカミングアウト。




「男か」




興味なし、とペイッと凪沙の手を離す日比野。




(((コイツ……)))




下衆だな。


アリスと剛と四季、意見の一致。




「好き……」




(((コイツ……)))




もう呆れるしかない3人。




「ねぇーっ!僕も入れてよーーっ!」

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