第21話
「いや、あの男の名に覚えがあるなら引き取りに来い、とは言ったがあたしの所へ来いとは言うてへん」
ブスくれるアリス。
その表情が幼くて可愛らしく、美容院の従業員達の心をワシ摑みにしたが、見慣れている弟達には通じず剛も四季も日比野を見てる。
「そう言うな。俺とお前の仲だろ、神の愛娘」
「その呼び方止めぇ」
アリスが日比野を睨む。
しかしどこ吹く風の日比野。
「なんだ、名前で呼んで欲しかったのか、アリス」
「ギャァアアアッ!!」
アリス絶叫。
お店は震え、従業員達はアリスの声量に驚愕。
四季は顔を歪め耳を塞ぎ、剛は慌ててアリスの口を塞いだ。
「店に迷惑を掛けるな、アホぅっ」
どこまでも凪沙の働きやすさの心配をする剛である。
「せやかて、見てや!!」
バッと皆の前で腕をかざしたアリスの白い腕には無数の鳥肌が立っていた。
しかし、絶叫され、態度で示されても
「アッハッハッハッ!!」
豪快に笑う日比野。
❨❨大物だ…❩❩
剛と四季は、自分にはない日比野の器のデカさ感じ、アリスは剛の後ろに隠れガルルルルーッと彼を威嚇している。
天上天下唯我独尊に見えたアリスにも天敵は居たらしい。
「アリスちゃん、何騒いでるの?お店に迷惑でしょ」
まだ髪を切られている末っ子の正義にまで注意されるアリス。
その事に、というか1番の問題児正義に注意されアリスはお店のソファーに倒れ込んだ。
しばらくは再起不能かもしれない。
放っておくことにする弟達。
「ちょっと…」
そしてフラフラと日比野の前に来た凪沙。
嫌な予感のアリス、剛。
何も感じ取らない四季と正義。
「カッコいい……」
完全に目がハートの凪沙がボソッと呟く。
「「「「おぉおいっっ!!」」」」
姉兄弟総ツッコミ。
見る目がないと嘆いたばかりだろと。
ダメ男ではないが、日比野は危険人物だとアリスと剛と四季は認識している。
「冗談だって」
姉兄弟達の総ツッコミを受けて、そう笑って言う凪沙だったが……
❨❨❨❨もう…手遅れかもしれない……❩❩❩❩
姉も兄も弟も…誰一人信じる者は居なかった。
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