第17話

「さっき外で二人のことを怒ったが、あれは凪沙を助けるためだったんだな」




人様に迷惑をかけて、と思った。


だが家族を助けたなら別だ。



巻き込んだ女の子達には申し訳なかったが、怪我もなかったことだ。




「理由も聞かず怒って悪かった」




そう言って笑った剛を見て、パッと表情を明るくするアリス。




「僕は何もしてないよ。助けてくれたのはアリスちゃん」



「そうか」



「……剛」



「ん?」



「あたしのこと……嫌いになってない?」



「ならねぇよ」



「!!剛ーーーーーーーーーっ!!」



「!!!!」




アリスが剛に飛びつこうとした瞬間、剛は弾かれたように身を翻した。




「剛くん……?」




恐い顔をして、外を睨む剛に正義は呼び掛けるが、応えはない。




「わっ、ちょちょちょちょちょちょっ!? 」




そんな中、避けられたアリスは勢いあまり……




ドコッ!!



四季と凪沙に激突。




ジャッキン!!




「「「「「…………」」」」」




小気味良い音がした。



四季が……震え出す。















「アリスーッ!!」



「ちゃうちゃうちゃう!!わざとやないーっ!!」



「っっ」



「お前達、うるさいっ」




前髪をバッサリ切られ吠える四季、高速で首を横に振り弁明しようとするアリス。



吹き出すのを堪える凪沙に、さっきの自分のことは棚にあげて怒る剛。




「決めた!!僕はこの髪型にする!!」




姉、兄が騒がしい中、どこまでもマイペースな末っ子正義なのであった。




……しかし兄二人の前髪が大変なことになった今、正義の前髪は無事でいられるであろうか?

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