第15話
それは姉弟が離れ離れになる日、剛が言った言葉。
ずっと一緒に居たかった。
ずっと一緒に暮らしたかった。
今は無理でもいつか、そんな想いを込めて。
正直、もう無理だと思ったこともあった。
見つからないことも、結婚して自分の家庭を持った奴もいるだろうと。
でも、アリスも四季も正義も喜んでくれた。
一緒に住むことを望んでくれた。
そして新たな家族も出来た。
トメばあちゃんと小さな光愛である。
嬉しく幸せな剛。
だから
「凪沙」
「ん?」
鏡越しに瞳があい、剛はそれは優しく凪沙に微笑んだ。
「生きててくれてありがとな。約束を覚えてくれてて、ありがとう」
「っっ」
ホロホロと凪沙の瞳から涙が。
「あれ……やだな……なんで……」
本人が一番狼狽え、後から後から溢れる涙を拭う。
剛は、凪沙が愛しくて抱き締めたかったが自分の状態を思い出し断念する。
その代わり、言葉にする。
「良く頑張った。お前はこれから俺達と一緒に幸せになるんだ。これまでの分もたくさん」
「……剛」
「ん?」
「……それってプロポーズ?」
「あ?」
「なーー!?」
凪沙の言葉に大きく反応したのはもちろん……
剛大好きっ子、アリスである。
「そんなっ、そんなわけあるかぁーっ!!」
ドッ!!
アリス、剛に体当たりし抱き締め
「あ"っっ」
「コラッ!アリス!……って」
ヤベッと小さく凪沙が声を上げ……
「「……あ??」」
剛の前髪がバサッと落下した。
「「「…………」」」
時が止まる。
「アリスーッ!!」
剛の怒号が店内中に響き渡ったのは……言うまでもなく。
「わっ!?」
「おっ!?」
どんな髪型にするか、本に熱中していた弟二人はビックリしてソファーから少し飛び上がったのだった。
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