第11話

「そうか」




般若のような表情だった剛が柔らかく微笑み、優しく凪沙の頭を撫でる。




「「「ぐぬぅ……」」」




何故か呻くアリスに四季に正義。




「小さい頃から可愛いかったが、綺麗になったな」




感慨深げに言う剛の目線はもうなんだか親戚のおっちゃん的目線だ。



でも凪沙は嬉しそうに笑って




「本当!?本当!?僕、綺麗!?」




と剛に抱きついたまま剛を見上げ、目をキラキラさせて聞く。



それを、おっちゃん的目線のままで頷く剛。




「ンフフッ」



「とう!!」



「ぬがっ!?」




アリスが剛の背中にタックルのごとき勢いで抱きつき




「僕もっ!!」




正義が右腕に抱きつく。




「あっ……俺っ、俺もっ」




最後は四季、なのだが


この中で多分一番、真っ当に生きてきたものだから。



色々考えてしまい、動けず固まってしまった。



そんな四季も可愛いと思う、家族愛過多の剛は笑って、唯一空いている左手でコイコイと四季を手招きする。




パッと笑顔になった四季がアリスと凪沙ごと剛に抱きついた。



あの日ー。


家族として暮らしていた家が取り壊され、バラバラになったあの日から、ようやく5人集まった。



嬉しくてたまらない剛であったが




「うちの方がキレイやんな!剛!」




とアリスが言い出し




「や、お前は綺麗だが狂暴すぎてプラマイ0」



「なぬ!?」



「僕は可愛いよね!!」




と正義。




「可愛いな。が、もうちょっと常識を学んでくれ」



「えっ!?」




何故かそんなことを聞いてくる姉弟に、嘘偽りなく答えていく。

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