第4話

「行くで……。正義」



「うん……。僕、早く凪沙ちゃんに会いたい……」




さっきまでの勢いはどこへやら、トボトボと人垣から出ようとしたアリスと正義だったが




「おいっ!なんとか言えよっ!凪沙っ!」



「「!!??」」




聞き知った名前に、ゾンビの如く前屈みで頭を垂れていた二人が同時に顔を上げる。



そして互いを見た。




「今」



「確かに凪沙って……」



「「…………」」



「「凪沙」ちゃん!?」



「??」




さっきの所まで戻ったアリスと正義が叫ぶ。



するとキム◯クとは似ても似つかぬ男に手首を掴まれていた人がキョトンと二人の方を見る。




淡いクリーム色の髪は長く後ろで1つに纏めてる。



涼しげな切れ長の瞳にプックリとした柔らかそうな唇。



背は175㎝ほどで、体は少しの衝動で折れそうなくらい細く頼りない。



アリスが勝ち気国籍不明の美女ならば


こちらは、儚げな純日本人美女だった。




が、二人が捜しているのは"弟"で"兄"だ。




「凪沙ちゃん……?凪沙ちゃんなの……?」




正義はまだ小さかったから、うろ覚えのところもあって自信がない様子。



だからアリスと凪沙を交互に見ては答えを待ってる。



けれど、アリスにはわかった。



大事に弟だ。




「間違いない。凪沙や」




アリスがそう言うと、パッと顔を輝かせた正義が凪沙の元へ向かう。



そして




「凪沙ちゃん!!」




男に手首を掴まれたままの凪沙に抱きつく。



スキンシップの激しい末っ子である。




「え……あの……」




急なことにビックリしてる凪沙がアリスの方を見、瞳を見開いた。




アリスの青い瞳。



凪沙の記憶が呼び戻される。




「アリス……に、この甘えん坊は正義……だね?」



「うん!!会いたかったよ!!凪沙ちゃ…」



「オイッ!!」



「!?」



「「…………」」

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