第3話【幕開け】

 二人と一匹の挨拶が済んだ矢先、玄関から元気な声が響いてきた。

「たっでーまー」

「あ、桜が帰ってきたみたい」

「うわっ、くっせー! お姉ちゃんの靴くっせー」

「違うわ!」


「じゃあ何のにお……うぇぇぇぇー⁉ なになになにー? チョー可愛いんですけど、そのぬいぐるみ! 私にもモフモフさせてぇー……って臭っ! オェェェェー。むっちゃ変な臭いするんですけどコレ」


「はぁ~。さっきからおのれらは、わしのことを何度も臭い臭い言いよってからに……。まぁまぁなストロングハートのわしでも流石に傷つくで」

「あ、すんません。……ってゔぇぇぇぇー⁉ めっちゃ喋るじゃんコレ! お喋りできるぬいぐるみとか、ハイテク過ぎるんだけどぉ! お姉ちゃん、これどうしたの?」


「これからんだよ……」

「ん? まだお金払ってないの?」

「お金は……まぁ払ってないな」

「ダメじゃん。万引じゃん。逮捕じゃん」


「違うわ! 懸賞で当たったんだよ」

「マジ⁉ すげーお姉ちゃん。超ラッキーじゃん! 桜も喋るコアラ欲しいなー」

「わしの名は銀仁朗やで。よろしゅうに、桜とやら」

「うん。よろしく、銀ちゃん」

「ぎ、銀ちゃん?」


「うん、銀ちゃん。そっちの方が可愛いじゃん。ママー、銀ちゃん臭いから洗濯機に入れていいー?」

「ダメよー、ダメダメ。そんなことしちゃ、銀ちゃん死んじゃうわよ!」

 英莉子までも唐突に銀ちゃん呼びに変わり、銀仁朗は英莉子の顔を二度見した。つくづく英莉子の順応力の速さに驚く銀仁朗だった。


「あ、そか。機械だから壊れちゃうか」

「せやから、わしは機械やないて言うて——」

「どうしようかなぁー。お風呂とかで濡らすくらいなら大丈夫かなぁ?」

「(この娘、さっきからわしの話全然聞いとらへんがな)まぁ風呂は嫌いやないし、入れてもらっても大丈夫やで。お湯はぬるめで頼んます」

「お、じゃあ早速お風呂準備してくるねー。今日も私が一番風呂〜♪」


「全く。騒がしい娘やのぉ、君の妹は」

「桜はいつもあんな感じですね。すぐ慣れると思いますよ」

「人間の姉妹いうのんは、こないにも似ぃひんもんなんか?」

「似てる姉妹もいるでしょうけど、うちらは全然似てないですね」

「なるほど、兄弟姉妹言うても、色んなパターンがあるんやな」


「銀ちゃ、いや、銀仁朗さんは——」

「銀ちゃんでえぇで」

「い、嫌じゃないですか?」

「嫌とかやないけど、初めてそんな呼び方されたから、ちょい戸惑ってもうただけや。好きなように呼んだらえぇさかい」


「あ、ありがとうございます」

「あと、敬語もよろしい。桜っこみたいに普通にしゃべり」

「桜っこ? 何それ、ふふっ」

「わしもあの娘にあだ名付けてやったんや。これでおあいこや」

「やっぱり嫌だったんじゃん」

「せ、せやから、嫌とかやないわい!」


 玲は、モフモフの毛皮に覆われていて、実際には見えないが、銀仁朗の顔が赤らんでいるような気がして、とても愛らしく感じた。

「銀ちゃん。改めまして、ようこそ我が家へ! これからよろしくね」

「おぅ! よろしゅう頼んます」


 英莉子は既に平常モードに戻っているようで、玲にいつも通り晩御飯のリクエストを尋ねる。

「玲、夜ご飯何か食べたいのある? あ、そういえば銀ちゃん。あなたって何を食べるの?」

「わしか。わしの主食はユーカリやで。たまーにユーカリ以外のもんも食いたくなるけどなぁ。例えばティーツリーなんかを無性に食べたくなる時があったりすんのやけど、やっぱユーカリに勝るもんはないなぁ」


「そっか、コアラといえばユーカリだったわね。でもどうしましょう……。ユーカリなんてスーパーで売ってないわよ。あと、ティーツリーも。ティーツリーオイルなら、昔お友達のオーストラリア土産で貰ったやつがあった気がするけど、使い道が分からなかったから、未開封のままでどこかにしまっちゃってるわねぇ」


「わしの飯やけど、動物園にあるストックを送ってきてくれるいう話やったで」

「ほんとに? それなら助かるわ。玲が私立に通い出してから、うちの家計は学費払うのでアップアップなのよ~」

「すんませんね、金食い虫で」


「冗談よ。でも、餌のことは本当に助かるわね。いつ届くのかしら? 銀ちゃんの今日のご飯が無いと困っちゃうし」

「三日分くらいの餌は、この箱ん中に入っとるから、じきに届くんちゃうか」


「それならよかったわ。じゃあ今日のご飯は野菜炒めならぬ、ユーカリ炒めにしましょうかね!」

「おいおい、止めとき。ユーカリには毒があんで」

「もう、銀ちゃん。そこは『おっ、ええなぁ~。うまそうやの~』くらいのノリ突っ込みしてこなきゃ!」


 銀仁朗は小声で玲に話しかける。

「玲よ。母上の扱い方、ちょっとムズそうやな」

「でしょ。これもすぐ慣れるよ……たぶん」

「お、おう……」

 今後の新生活に、本当に馴染めるのだろうかと、一抹の不安を抱いた銀仁朗であった。

「さて、銀ちゃんのご飯問題も解決したところで、お買い物に行ってくるわね」

「はーい、いってらっしゃい」


 英莉子が買い物に行った直後、リビングから『チャラララン、オフロガワキマシタ♪』という電子音が流れてきた。

「あ、お風呂沸いたー。銀ちゃんを洗おーっと」

「私も手伝うよ」

「いいよ、桜だけで大丈夫だから」

「でも、初めてだし……」


「わし、一人でも大丈夫やで。風呂場はどこや。案内だけしてくれへんか」

 そう言うと、銀仁朗は部屋中をキョロキョロと見回し、風呂場を探す素振りをする。その姿を見た桜が、感嘆の声を上げる。

「なーんか、マジもんみたいだなー。最近の技術力はスゲーっすね!」


「桜、そのことなんだけど……」

「ん? そのことって、どのこと?」

「いやだから、銀ちゃんのことよ」

「うん、だから何?」


 玲は、少し顔を背けながら、躊躇(ためら)いがちに、桜に重大な事実を申告した。

「銀ちゃんは……。なのよ」

「うん、見たら分かる」

「いや、たぶん分かってないと思うなぁ」


 桜は、玲の曖昧な物言いをする態度に苛立ちを覚えた。

「さっきから何? 言いたいことはチャチャっと言ってちょーだい!」

「だから、銀ちゃんはコアラなのっ!」


 普段大人しい姉の声量から比べると、数倍の大きさであっただろうその一言は、桜の頭の中を真っ白に染め上げ、暫時ざんじ彼女の思考回路を停止させた。

「はぁ……。本物の……。コアルァァァァ⁉」


「うん。ぬいぐるみでも機械でもなく、ガチのコアラ」

「きょ、今日って四月一日だっけ……」

「エイプリルフールじゃないわよ。もう六月でしょうが。コアラのマッチョの懸賞で、コアラが当たるかもっていうやつに応募したら、見事に当たっちゃったのよ」


「えっ、えっ……。じゃあ、さっき話してた、これからって言ってたのって『買う』じゃなくて『飼う』の方だったてこと⁉」

「……まぁそういうことだね」

「ムァァァァァジか⁉」


「信じられへんねやったら、わしの体チェックしてみるか? 機械やったら背中にチャックでも付いとるんとちゃうか」

「え、いいんすか? んじゃ、チェック入りまーす」

「じょじょじょ、冗談やがな。あ、あぁ~。そこはっ、あ、あかん。や、止めて~」

 桜は、銀仁朗の体にジッパーがあると疑われる場所を隈なくまさぐったが、何も無いことを確認し、彼が紛れもなく本物のコアラであると確信するに至った。


「これは……マジもんだね」

「ふぇ~。あっちゃこっちゃ触るから、こしょば過ぎて死ぬか思たわ。ほな分かってくれたところで、はよ風呂行くで」

「お姉ちゃん……。一人じゃ無理です怖いです付いてきて下さいすいません」

「はいはい」



「熱っつ。熱過ぎや。ぬるめで言うたやろがい」

「人間にはだいぶぬるいんだけどなー。このフサフサの毛がある分、温度調整が難しいのかなぁ」

「勝手に刈るなよ、わしの最高級毛皮」

「どれくらいの値段で売れるかなぁ? コアラの最高級毛皮」

「売ろうとすな!」

「冗談だよー。これくらいの温度でどう?」

「おぉ、ええ感じや。気持ちええわぁ」


 風呂桶を湯船替わりにし、くつろぐ姿を見て、桜は銀仁朗に尋ねた。

「なんか、銭湯にいるおじいちゃんみたいだねー。そういや、銀ちゃんって何歳なの?」

「わしか。わしは、十歳過ぎてからは、数えんようにしてたさかい、いくつになったか定かでないなぁ」

「ふーん。コアラってどれくらい生きられるんだろ? あとでスマホで調べよっと」


「まぁ、ある程度は長生きしてきたから、生い先長くはないかもやなぁ」

「出逢ったばっかりなのに、そんなこと言わないで下さーい!」

「あぁ、そやったな、すまんすまん」

「わかれば宜しい」


 何かあった場合に備えて脱衣所で待機していた玲が、中の様子を心配して声を掛ける。

「桜、大丈夫? 銀ちゃん綺麗になった? 乾かす準備はできてるけど」

「ほな、わしは長湯は好かんから、そろそろ上がらせてもらおうかいな」

「くんくんくん。よし、いい匂いになった! お姉ちゃんあとお願ーい」


「はーい。銀ちゃん拭いてくからこっちに……って濡れ銀ちゃんめっちゃイケメンになったんだけど。ウケる!」

「何でウケんねん! てかなんやねん、濡れ銀ちゃんって!」


「コアラの濡れてるところなんて見たことないし、軽く衝撃……いや笑劇映像だわ」

「上手いこと言わんでええから、はよ拭いてくれ」

「ごめんごめん。……今度写真撮って良い?」

「あかんにきまっとるやろ!」

「ですよねー」


 そんなこんなで、大原家に来ての初めての入浴は、滞りなく済ませられた。コアラの毛は意外にも短く、生き物の扱いに慣れていない玲にも、比較的簡単に乾かすことができた。



「ただいまー」

「あ、お母さんお帰り」

「あーら、銀ちゃん。お風呂入れてもらったのね。すごく綺麗になったじゃない!」

「桜っこに洗ってもらったわ。一番風呂なかなか気持ちよかったで」


「それは良かったわね。玲、今日は卵が安かったからオムライス作るわね」

「イイね。よろしく!」

「玲もお風呂入っちゃっておきなよ」


「桜がまだ入ってる。あいつ風呂長いんだよ」

「たまには一緒に入ったら。昔みたいに」

「やだよ、絶対やだ」

「さいですか~。ママはご飯の支度してきます~」


 玲が妹との入浴を拒絶することを不思議に感じた銀仁朗は、素朴な疑問を投げかける。

「なんで妹と風呂入るんがそない嫌なんや?」

「あいつが悪いんだよ。あいつと一緒にお風呂入ると、いつもちょっかいかけてきて、私がやり返したらすぐ泣くんだよ……。そしたらすぐお母さんが怒鳴ってきて『お姉ちゃんなんだから妹に優しくしなさーい』とか言われるし。好きでお姉ちゃんになった訳じゃないっつーの」


「ふーん。玲は桜っこのこと、嫌いなんか?」

「……別にそんなんじゃないけど」

「家族っちゅうもんは、いつまでも一緒に居られるもんやない。失ってから気付くこともようけあんで。まぁ、わしが言えた義理やない話やけどな」


 玲は、銀仁朗が家族の話をする際に見せる表情に、何か物寂しさを感じ取った。だがそこはセンシティブな部分でもあるので、それについて問いかけることは自重した。


「ま、喧嘩するんも元気な証拠や。せいぜい仲良う喧嘩したらええわ」

「仲良く喧嘩するって矛盾してない?」

「喧嘩するほど何とやら、やな」


「はーい、おまたー。お姉ちゃん入るー?」

「うん、今行く」

「おっ、お風呂上がりの銀ちゃん、モッフモフ感がハンパないんですけど! ギューしていいですかいいですよね洗ってあげたの桜ですもんね! モフモフいっただきまーす」

「や、や、やめれぃ……ギャ~!」


 廊下で桜が銀仁朗をモフモフしていると、玄関のドアが開いた。

「ただいまー」

「あ、お父さんお帰りなさい」

「パパ! 大変だよ大変! うちにコアラが居るんだよ!」


「玲、桜、ただいま。さっきママからのVINEを見て、電車内で大声上げちゃって、めっちゃ恥ずかしかったよ」

「まぁ、驚くよね普通」

「玲が何かの懸賞に応募してたってのは聞いていたけど、まさか景品がコアラだとは思わなかったな、あははは」


「健ちゃんお帰り。今日の晩御飯はオムライスだよ」

「イイね! 英莉ちゃんのふわとろオムライスは絶品だから、楽しみだなぁ。で、例のコアラくんはどこに居るんだ?」

「こ……ここや」

「うわぁ!」


 桜のモフモフ攻撃をかいくぐり、健志の足元に倒れ込んできた生物の存在に気づき、思わず大きな声を発した。

「そんなびっくりせんでもええがな。ちょいと失礼」

 そう言って、銀仁朗は健志のスーツのズボンを掴み、立ち上がった。


「いや、普通家の中にコアラなんて居ないし、喋らないし、二本足で立たないし」

「二本足で立つこともなくはないで」

「そ、そうなんですか? 動物園でコアラが立ってるところなんて見たことないですし……」

「まぁ、立つ必要があんまりないからな」

「で、ですよねぇ」


「父上も、皆と同じように普通に喋ってもろて構へんで。今日からわしらは家族やし」

「あ、ありがとう、ございます……でいいのかな?」

「そこは、よろしくでええがな、父上」

「そ、そうだね。よろしく、銀ちゃん……だったかな」

「おう。よろしゅうに、父上」


「ところで英莉ちゃん。コアラの飼育方法って知ってたりする?」

「知ってるわけないでしょ、そんなの」

「だよねぇ、あははは」

 英莉子の当然の回答に、健志は自分で質問しておいて、なんて低レベルな問いかけをしたのだろうと、自嘲気味に笑った。


「うーん、どうしたものか……。あ、そうだ! 阿保あぼ先生を頼ってみようかな」

「阿保先生って、駅前の動物病院の先生?」

「そうそう。あの動物病院、実家で犬を飼ってた時にちょくちょくお邪魔してたんだけどさ、あそこの病院って犬猫以外にも、猿とかトカゲとかフクロウとか、ありとあらゆる動物を診てくれるって昔っから有名なんだよ」


「へぇ。だったらコアラの飼育方法についても教えて頂けるかもだね」

「玲と桜も一緒にお話し聞きに行こうか。みんなで銀ちゃんのお世話しなくちゃだし」

「行くー。お猿さんとか見たーい。お姉ちゃんは何が見たい?」


「桜、動物園に行くんじゃなくて、病院だよ、病院」

「わかってるし。せっかく行くなら、珍しい動物見れたら嬉しいじゃん」

「桜、玲の言う通りだぞ。物見遊山ものみゆさんじゃなくて、勉強しに行くんだからな」

「ふぇーい」


「健ちゃん、次の金曜は早く帰って来られそう?」

「そうだね。金曜はノー残業デーだから、十九時前にはこっちに帰って来られる筈(はず)だよ」

「じゃあ、後で金曜の午後診で予約入れて貰えるか電話で聞いておくね」

「ありがとう英莉ちゃん。予約お願いします」

「任せておいて」

 英莉子はそう言って、右手でOKサインを作った。


「急だったけど、家族が増えるってのは、やっぱり嬉しいことだな」

「そうね。健ちゃんには明日からのお仕事、一層気張ってもらわないとだね!」

「うぇーん。頑張りたくなーい」


「パパ、ファイトー♡」

「うぉーーーー頑張るぞぉ!」

「チョロいなーパパは」

「お父さんったら、ほんと単純なんだから」

 娘二人に、少々呆れられる健志であった。



「オムライスできたよー! みんな席に着いてくださーい」

「わぁ! 僕のオムライスに『FIGHT《ファイト》』って書いてあんじゃんか! 最高かよ!」

「愛情たっぷりオムライスですよ♡」

とうと過ぎて食えん……」


「食べないなら桜がパパの分も食べたげるよー」

「あかんに決まってるやろがい!」

「冗談だよー。そんな必死な顔して取られまじとしなくても」


「お父さん。袖に付いてるよ、ケチャップ」

「えっ? あー! しかも、FIGHTのFがEみたいになっちゃったじゃん!」

「パパ、EIGHT《エイト》!」

「何だよ~、八って」

「末広がりで縁起のいい数字じゃないの、うふふっ」

「漢字で書いたらそうだけどさ~。ワイシャツにケチャップは付くわ、英莉ちゃんからのエールの文字は意味変わっちゃうわ、ツイてねぇ……」


 健志は、がっくりと肩を落とした。その姿を哀れみ、桜が健志に言う。

「パパ。顔上げて、周りを見てみなよ。可愛い女子が、こんなにもたくさんいるんだよ。今日からは、下を見れば足元に、銀ちゃんという可愛い家族も増えたじゃん。最高かよ!」


 しょんぼりしていた健志だったが、顔を上げ、目の前に居る家族を見回した。桜の言う通り、眼下には寛ぎながらお先にユーカリをむしゃむしゃとむさぼる銀仁朗がいた。


「なんだ……この最高な環境は! 素敵過ぎるな!」

「健ちゃん、あなたが幸せ者なのは分かったから、早くシャツ脱いで、少し水洗いしてきてちょうだい。シミになるから」


 英莉子から急に現実的なことを言われ、ハイテンションから我に返った健志は、「そ、そうですね。直ちにやってきます」と言い残し、ケチャップの付いたシャツを洗いに洗面所へとトボトボと歩いていった。


「この家の人間はみんな愉快やなぁ。退屈せんでよさそうやわ」

「毎日楽しいよー」

「毎日うるさいよー、の間違いじゃない?」

「暗いよりいいでしょうがー」


 いつもの姉妹喧嘩が始まったので、英莉子が制止に入る。

「はいはい二人とも終了。銀ちゃん、改めてだけど、ようこそ我が家へ。これから、家族仲良く、楽しく過ごして行きましょうね!」

「楽しいのが一番や。わしこそよろしゅう頼んます!」


 こうして、大原家に一匹の珍獣が仲間入りをする運びとなった。

 コアラが一般家庭で生活をするという、前代未聞のファミリーストーリーが、ここに幕を開けた。

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