第44話 セーフハウス
ここはあらかじめ決めていた
カーテンで閉め切られた薄暗い空間を見渡し、あたしはほっと息を吐く。
「ここまでくれば安全ね……」
「真綸、お疲れ様」
後ろから若い女の声がした。
振り向くと、空色のセミロングヘアを片方だけ結んでワンサイドアップにした少女が立っていた。片手に水のペットボトルを持って歩み寄ってきている。
あたしと瓜二つの少女だ。
服装は霊妙館学園の制服姿で、赤いブレザーと黒いスカートを着ている。モデルだけあって完全に着こなしていた。
「はい、お水」
「ありがとう」
ペットボトルを受け取ると、あたしは狐面を頭にずらしてから水を一口飲んだ。
激しい戦闘のあとで少しだけ喉が渇いていたから、普段より美味しく感じる。
「影武者ありがとう、ミナミン。なにか変わったことはあった?」
「大丈夫よ。いつも通りモデルの仕事をしていただけだもの」
そう言うとミナミンは変身を解き、茶髪のミディアムヘアのお姉さんの姿に戻った。
これはミナミンの能力、ドッペルゲンガーの変身だ。
「ミナミンがいてくれて助かるー。あたしが怪異連合で動くときのアリバイになるし」
「そうね。まさか人気の魔族モデルがテロリストだなんて誰も思わないだろうし」
「そうそう」
「でもあまり無茶はしちゃダメよ? あなたはSランク魔族だけど、CRATは高位の魔族だって狩れる部隊だから、このままじゃいつか……」
「あたしはね、ミナミン。CRATをぶっ潰すまでは死なないわ。そうじゃないと、粛清された両親が浮かばれないから」
これは今の時代じゃよくある話だ。人間の男と妖狐の母が結ばれたことで二人ともCRATに殺された。母は優秀な妖狐で幻術を使ってCRATを出し抜き、しばらくは平和に暮らしていた。だけどそれも長くは続かなくて、あたしが五歳の頃にCRATに殺された。
(その仇を討たなくちゃならない。あたしはCRATをぶっ潰す……! そのためにアレを奴らから奪ったんだから)
静かな闘志を宿しながら、あたしはこの作戦で得たものを噛み締めたのだった。
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