第一話「ミチオ君。ちょっとチミ、臭い。」

 (あの日以来、僕は部屋に独りぼっちだ..。あの日から多分、何ヶ月もしてから、やっとタカハシさんは合鍵を使っては、毎晩僕の部屋に入って来る。ニヤニヤしたタカハシさんの二個の澱んだ眼。厭らしい両眼が僕を犯しにやって来る..。タカハシさん?どうして毎晩、僕の部屋に勝手に入って来ては、僕の身体に顔面を思いっ切り寄せて、舐める様な目付きで見詰めるんですかァ?しかも鼻息が肌に当たって、スッゴイ気持ち悪いんですけど?其れからタカハシさんの左眼に、イッツモ大きな目糞が媚びり付いてますよ?ホント汚いなァ、老人って..)

 


「ふゥゥん..これで百七十五人目か..」

 タカハシは呟いた。

 タカハシは、地球某町に存在している『アパルトメントヘブン』を経営して居る大家兼管理人で、近所住民が知る限り、タカハシには家族は居らず独り者。そして年齢も不詳。毎日同じ服を着て居て、毎日同じ表情。無表情且つ無感情で、非常に大人しい人物像。

 (フぅぅン..チッ。もう少し位、腐らせても良かったかのォ..やはり連絡を入れたのがチト早過ぎたか..?)

 二〇二号室の玄関口に立つタカハシは、感情の籠って居ない穏やかな喋り口で、向こうの居間に横たわるミチオの遺体を、遠目に見詰めながら思った。タカハシの隣には、タカハシからの通報で派遣された、地元の警察署巡査長のミタ。タカハシはミタに見せ付けるかの様に、ミチオの遺体に両手を合わせる仕草をする。だが実際には今日迄の毎晩、この部屋に訪れては、ミチオの腐乱具合を確認して居た死体愛好家。

「又機会が在れば、来世で再会しようのォ..ミチオ君。」

 茶色く着古した、毛玉で覆われたカーディガンの左ポケットから煙草の箱を取り出して、二本を抜いては、一本は自分の口に、そしてもう一本はミタの口へと強引に嵌め込んだ。

「ふはァ、ほォォモ(ああ、どうも)。」

 ミタは煙草の御返しにと、制服の胸ポケットから百円ライターを取り出し、自身が咥える煙草では無く、タカハシの右鼻から抜きん出て居る一本の鼻毛に、火を点けて燃やした。「凄い鼻毛が出てましたよ、タカハシさん」其の後でタカハシの咥える煙草に火を点ける。

「タカハシさん、前回の祭り(自殺)から、確か二ヶ月位は経ってるから、今回は結構持った方ですな..ククク。」

 ニヤリとした表情で、土足のママ勝手に室内に上がるミタ、軽蔑した面持ちでミチオを見下ろす。自殺する人間は負け犬以下だと思って居る。煙草の煙を肺に入れていたせいで、口頭では返答出来ないタカハシ、無言で二回頷いた後、自身も土足で部屋に上がる。どうせコノ後、専門業者がやって来て、床部分は全部交換するのだ。

 人間の死体の前で、躊躇う事無く煙草を吸う二人。『アパルトメントヘブン』の周辺には、赤色灯を激しく点灯させては駐車する警察車両が数台と、救急車が一台。建物の周辺には、黄色い立ち入り禁止のテープを張り巡らされて居る。現場は緊迫した状態か?と云うと実は全くそうでは無くて牧歌的。沢山の野次馬を目当てに、様々な料理の屋台が立ち並んでは行列が絶えない。この『アパルトメントヘブン』では、絶えず住人が自殺しては、今回の様に単発的な祭りが夜通しで催される。近所の住民達も、確かに初めの頃は気味悪がって居たものの、自殺が相次ぐと徐々に個々の神経が麻痺して行き、何時の間にか全く動じなくなった。然も毎度その祭りが催される事によって、地域の経済も潤うと云う事で、密かに『アパルトメントヘブン』での自殺を住民達は期待して居た。此処だけの話、闇では次の自殺者の住人を当てる賭けも存在するとか。

『アパルトメントヘブン』の死体は、大家のタカハシが必ず一番に発見する。これはタカハシの特権で、誰にも其の席は譲らない。よって一一〇番や、一一九番に連絡をするのも、必然的にタカハシの仕事となる。因みに一一〇番に電話を掛けるか?電話を一一九番に掛けるか?の違いは、其の時のタカハシ伯父の気分次第。舞台は現場の二〇四号室に戻る。

「ワシの住人が、人生最後の舞台に此処を選んでくれる事に感謝ですわな。どんな人間にも自分で命を絶つ権利は在りますからのォ..自分の人生何じゃから。」

「ア。そう云えばタカハシさん。私が違う現場に行った時、此処の名前を『アパルトメントヘブン』じゃ無くて、『アパルトメントヘル』に変えた方が良いって陰口を地域住民達から聞きましたよ。本当、人の死とは所詮は他人事ですわな。」

 ミタがタカハシの格言に頷きながら茶々を入れた。

「へ、ル?何じゃ..ヘルって?其れは一体どんな意味じゃ?。」

「地獄って意味ですよ、タカハシさん。何だアンタ?“ヘブン”って云う外来語の意味は知ってて、“ヘル”って意味は知らないで屋号に決めたのか?」

「フぅぅン..イヤ、この『アパルトメントヘブン』と云う名前はのォ、ワシが付けたんじゃ無くて、此処の作者さんが勝手に決めおったんじゃ。じゃから意味なんか全く知らん。何じゃ?其の“ヘブン”って?一体如何云う意味じゃ?」

「天国って云う解釈ですよ。」

「ヘルが地獄でヘブンが極楽浄土、成る程のぉ..。人間と云うのは、自殺をする人間は皆んな地獄に行くと思ってるのかのぉ..。自殺とは、地獄とはソンナにも悪いもん何じゃろか?このワシには天国の良さも全く分からん。現世が全てじゃ、ワシはそう思う。」

「ウンウン..」ミタは頷く。このタカハシが『アパルトメント地獄』の持ち主だと、近所の住民達から陰口を叩かれるのと同じで、タカハシの真横に立って居る巡査のミタにも、本人にも既に伝わって居るアダナが在る。

『人畜無害の殺戮者』

 ミタの腰に挿さって居るドス黒い拳銃は飾りでは無い。ミタは既に今年に入ってから、タカハシの住人の死人の数を軽く超える、九十六名の凶悪犯を射殺した。基本的に事件が何処かで発生した場合、最低警官四人、そしてパトカー二台で駆け付ける。一番理想的な終わり方は、誰も死ぬ事無く、其の場が穏やかで平和的な雰囲気で収まる事だ。警察に通報が在り、彼等が現場に出向いた時、其の中のミタは、ホンの数分で大体其の現場の状況を予測出来る。鬼気迫る緊迫した状態の中、犯人は物凄い興奮状態を保ちながら、警察から袋小路へと追い詰められて居る。後もう少しで捕獲出来るところまで来た。然しモシモこの犯人が拳銃を保持していたら?警察官達は、腰のベルトに挿して在る拳銃に手を掛けて、もしもの最悪な場合を想定して構えて居る。だが警察官達は絶対に撃たない。職務とは云え、殺人者になりたくないからだ。其の緊迫したギリギリの状況下の中、ミタの同僚達は、まるで事前に打ち合わせをしたかの様に、一人ずつ順番に其々がミタの居る方に視線を向ける。ミタは躊躇はしない。現場に銃声音が響き渡る。一発のみ。ミタならば一発で充分。拳銃の反響音に反応した犯人が、ミタの拳銃の発砲音を聞いた瞬間に「ドサリ」力無く地面に臥せる。ミタの拳銃の反響音が、警察官達を取り巻く空間から消え去る前に、犯人は即死。

 ミタの哲学。其れは凶悪犯と云う人種は活かしておいても、又、必ず同じか、其れ以上の犯罪を犯す。これはミタの長い仕事の経験で分かった事だ。どの様な犯罪者で在ろうと、更生の機会を与えるべきだと世論は言う。其れは全く間違った危険な思想だ。一度、人体に入り込んでしまった悪魔は、もう二度と其の世界から出て来る事は無い。そして其の悪魔は自分が犯した犯罪を正当化して、見ず知らずの誰かに責任を擦り付ける。

「俺がこうなったのは親のせいだ、環境のせいだ。」

 自分が起こした事件の重要性を全く無視した其の態度。そしていずれ、同じ様な犯罪、若しくは前回以上の犯罪を犯すのだ。だからミタは其の予防線の為に、いま自分の目の前に立ちはだかって居る犯罪者を、たった一発の弾丸で撃ち殺す。一発で仕留めてやるのは、せめてものミタの心憎い優しさ。即死は、痛みを感じる余裕などは無い、安楽死の一種。

 ごく稀にだが、重犯罪を犯してしまった人間が、其の後、改心する事実も確かに報告はされて居る。ここがミソだ。彼等は元々が善人なのだ。ただ何かが悪い方向に作用してしまい、そして犯罪を犯してしまったのだ。其の様な人間は自分の事件の犯罪現場に、ミタが来ない様、只ひたすらに祈れ。ミタは、根が善人だろうと何だろうと全く考慮はしない。撃ち殺す。一発で。以上。

 ミタは犯人を射殺した後、其の死体に向かって必ず祈る(もしオマエに来世が在るのならば、犯罪とは無縁の人生を送れます様に..)

 一度亡くなった人間は、其の時点で悪人善人の垣根は外され、一介の天使と昇華する。何でも死んだら全てがチャラになる。


 タカハシ達が、二〇二室の玄関口にて煙草をもうすぐ吸い終わろうとして居た時、一階から、鉄製の錆びた螺旋階段を誰かがユックリと上って来る音が聞こえて来た。

「かっつん..カッツン..かっつん..」

 (多分、彼だろう)タカハシとミタは同時に、頭の中で一人の男の名前が浮かぶ。

「嗚呼どうも、タカハシさん、ミタさん。何時もの名コンビでお疲れ様です。」

 ベテラン救急隊員のサイジョウ。そしてサイジョウの後ろには、二人がコレ迄に顔を合わせた事が無い、未だ成人を迎えて居ないのでは?と思われる、ホクホクの茹で卵の様な顔立ちの若い救急隊員も一緒に居た。その若い彼は、右肩に折り畳み式の担架を担いで居る。人間の死が絡んだ現場だと云うのに、現場にはとても穏やかな空気が流れて居る、其の若手救急隊隊員を、一人除いては。

「すみません、私も煙草を一本。」

 サイジョウが制服胸ポケットから、自分の煙草を出そうと云う仕草を見せた瞬間、タカハシが自分の煙草の箱から一本抜き取り、サイジョウの口に強引に捩じ込む。

「嗚呼、タカハシさん。じゃあ、遠慮なく頂きますよ。」

 タカハシは、サイジョウの後ろに居る若者にも、開けた煙草の箱を無言で突き出した。

「アっ、有難う御座います!けど僕、煙草は一切飲まないんです。」

 タカハシとミタは、部屋の奥の居間に土足のママで進み、ミチオの遺体を其々が、無表情で左右上空から見下ろす。彼等に続いて、サイジョウも咥え煙草のママ、ずかずかと土足で玄関から台所に上がり、其のまま居間に入る。男衆、三人組に見下ろされて居るミチオの今の心境は如何に?

「オォイ、クサカベぇ?来いよ、オマエも早く入って来いよ、社会勉強だぜェ?」

 咥え煙草のサイジョウは、左手を振ってクサカベを呼んだ。実は現場にやって来てから、ズット我慢して居たクサカベ。玄関先に立って居ても、ミチオの腐乱臭が凄い。地球の覇者の人間でも一度死んでしまったら、こんな激臭を放つモノなのか?兎に角クサイっ!

「オウッ!オゥ、オエっ!ふうふうふう.. 」

 (まあ、こうなるのも無理はナイ、未だ新人なんだから..)サイジョウが呟く。だがクサカベも、新人とは云え、一応は緊急隊員の端くれ、仕事を熟してくれなければ困る。

 二〇二号室の玄関先の踊り場に立っていたクサカベは、胃の中に在った残留物を全て吐き出した後、タカハシが侵入した時を除いては、ほぼ閉め切り状態だった密室状態の二〇二室の中に、初めの一歩を踏み入れる。

 (オエっ!臭ッ!) 激臭に更に輪を掛けた激臭のシンフォニー。其の予測不可の激臭が、クサカベの鼻腔に容赦無く侵入して来る。思わずクサカベは、条件反射で息をする事を放棄した。居間に立つ、クサカベを除いた三人の吸う煙草のカスが重力宜しく、其のまま畳の上に舞い落ちる。火事にはならない。何故ならば、この世界は空想物語の中に在るから。

 ポケットティッシュを両方の鼻穴に、パンパンに詰めたクサカベ、肩に掛けて居た担架を、先ずは台所に在る白い冷蔵庫に立て掛けた。最早、担架を担ぐ気力と体力がゼロだ。其の後、台所の床にへたり込み、更に吐いた。思いっ切り吐いた。もう胃液しか出て来ない。

 クサカベを除いた三人男衆は、長年の経験や体験を経て、腐乱死体も激臭も何とも思わなくなって居た。

 サイジョウは初めコノ現場に、もう少し現場経験の在る同僚を連れて来ようと考えて居た。経験を積まなければ、何時までも未経験のままだ。仕事を辞めたかったら辞めたら良い。今から様々な経験を積む事で、此れからの成長に繋がるだろうと踏んでの事で、今回は連れて来た。

「ずみまぜん、タガハジさん..。汚じてじまって..」吐き過ぎて、中々上手く発音出来ないクサカベ。

「イヤイヤ、気にしない気にしない。誰でも最初はこうなる。サイジョウさんも新人の時は同じじゃった。なぁ?サイジョウさん。」

「ハハっ!悪い事したなぁ、クサカベぇ。こんな現場は、普段だったらオマエみたいな新人は連れて来ないんだが、お前のヤル気を今回は買ってな。良い経験になるって思ったんだ、悪く思うなよ。」

「..いえ、サイジョウさん。お気持ち有難う御座います。只チト、臭いの度合いが今迄の人生でも経験した事の無い部類のヤツでして、僕ゥどうやら腐乱臭の事、舐めてました。」

 かなり青ざめた顔でサイジョウの方を見て、クサカベは言葉を返す。二〇二号室の部屋の踊り場は、クサカベの嘔吐物で溢れて居た。

「どの道コノ部屋は、一度全部キレイにしないと次の人に貸せんから、ゲロだろうが糞だろうが、勝手に垂れてくれても構わんよ。」

 タカハシは、然りげ無い優しさの台詞をクサカベに差し伸べた。タカハシから貰った煙草を既に吸い終わっていたサイジョウ。普段の調子を取り戻しつつ在るクサカベに指令を出した。

「よっしゃ、クサカベ。やっちゃおうや。」

 今回のミチオの死因は、中途半端な切腹死みたいなものだ。自分で出刃包丁を使い、下腹部を中心に何度も刺した事による大量出血。其れが引き起こした急性出血ショック死、ミタは判断した。タカハシの記憶が正しいと、今回のミチオの中途半端な切腹死が原因で亡くなった住人は、恐らくミチオが最初だろう。このアパートでの断トツ一番人気自殺方法は、世界的にも大人気且つ永遠のクラシック手法、首吊り自殺。

 (刺しが確かに甘いが、其の気合いだけは買ってやらんと、ミチオ君は浮かばれん。)

 口に出さずにタカハシは呟く。ミタは、自身の仕事で在る実況見分を始めており、第一発見者のタカハシに、ミチオを発見した時の状況、身元の個人情報等を調書に書き込む作業を台本通り進める。其れが一段落済むと、早々と皆に軽く挨拶をして、二〇二室から出て行った。

 サイジョウとクサカベは、其の二人が遣り取りをして居る間に、折り畳み式の担架を広げ、ミチオの遺体の右横に置き、ゴム手袋を装着した後、お互いに声を掛け合いながら、ユックリと少しずつミチオを持ち上げる。

 ここまで神経を細かく配る理由は、この後ミチオを搬入した病院先で検死が待って居るからだ。商品としての遺体を、なるべく形を崩さずに病院に運ぶ。売り物の商品を搬入元に届ける際に崩してしまったらコトだ。この場面だけは流石のサイジョウも気を配る。

「おい、クサカベ?お前、腰にだけは気を付けろよ。死んだ人間は魂が抜けて上に飛んで行ってしまうから、抜け殻の肉体は逆に下に向かって落ちて行く。だから重さが増す。」

 クサカベは、先程よりも更に近い距離、目の前でミチオに接して居るが、ーもう嘔吐する事は無かった。サイジョウが、クサカベにと仕事場から持参して来た、伸縮自在の鼻栓を渡すのをウッカリ忘れていたのだ。今は其の鼻栓をしているクサカベ、全く狽える様な様子は見えない。

「ファイ、ハイジョウさん!」

 鼻栓をしているが故に、返事が如何しても鼻声になってしまう。其れを聞いたサイジョウは思わず吹き出してしまう。

「フハっ!良し、クサカベ。後もう少しだからな。イチ、ニのサンで、同時にコイツを担架に乗せるからな?」「ふぁい!」


 無事にミチオを救急車内に搬入したサイジョウ達も、タカハシの現場を後にした。彼等には未だ、このミチオを何処かの病院に落とす仕事が残って居る。一番最寄りの緊急病院までは、時間として約一〇分。然し其処に空きベッドが無い場合は、無下に断られてしまう。そうなると、其処から更に遠い緊急病院に連絡をする事になる。だが彼等には別に慌てる様子は見えない。既に患者は“只のモノ”に変わって居るから、焦って病院を探す事も無ければ、サイレンや赤色灯を点滅させる必要も無い。夜のの近所迷惑走行は極力避けたいトコロだ。

「オイオイ、クサカベぇ?オマエ未だ鼻栓してんのか?外しちゃえよ。」

 助手席で窓を全開に開けて、煙草を吹かすサイジョウ。運転はクサカベが担当。

「フぁイ?ふァ、フぉウでした!フッかり緊張ひてて」透かさず鼻水混じりの鼻栓を外す。

「然しサイジョウさん。人間って、死んじゃって誰からも発見されないと、あんな風に変形しちゃうんですね?あんなの見ちゃうと、人生の最後の終わり方について色々と考えてしまいますよ。誰かと一緒に住んでたら良いのか?とか..其れは奥さんだったり、自分の子供だったり、何か切ないですよね..」

「馬鹿、クサカベ。奥さんや子供は、お前の奴隷何かじゃ無いぞ。答えは永遠に出ないよ。王様や王妃の様な選ばれた人間も、只地球に生まれて、只死んでいくだけだ。廻りに誰か一緒に居ても、死ぬのは自分一人だけだ。死ぬのに環境何か要らない。ゴキブリもドブネズミも人間も、所詮一緒よ。」

 救急車を走らせて居る大通り。反対車線の向こう側の歩道には、沢山の歩行者達が歩いて居る。大通り両側の歩道沿いには、様々な飲食店のギラギラ輝くネオン看板と、店内から溢れる照明の光が、歩道を明るく照らす。

 (いつか彼等も独りぼっちで死んで行くんだ..人生って何なんだろ..?)

 ふと、クサカベは思っては呟いた。

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