第13話 友人の話


柴田「うわぁ、懐かしいなぁ。映画いったよね。でもなぁクラスが変わって全く遊ばなくなっちゃったもんな。でもこの学校の特殊システムだから仕方ないっちゃ仕方ないのか。」


仲村「そうなんだよ。クラス変わってからが地獄だったんだよ・・・・西原と会ってしまった・・・・もう名前も呼びたくないくらいだ・・・。」




 クラス変わった途端仲村は、不良グループの西原に目をつけられてしまい、イジメの対象になってしまいました。仲村は家が裕福である為、西原達にとって小遣いを巻き上げるのに最適な対象でした。


柴田「なぁこの学校の先生に相談してもどうにもならないんじゃ、教育委員会に直接こっちからアプローチしてみたらどうだろうか。第三者委員会とか立ち上げて貰ってさ。」


仲村「柴田・・・・それも考えたんだけどよ・・・・・それじゃあ・・・・なんか納得できないっていうかさ・・・。自分の気持ちとして。」


柴田「現状どうにもならないんじゃ・・・他の人の知恵を借りた方が・・・・・」




 正直この高校の人間は誰も頼りになりません。教頭や教諭にはもう何度も介入して貰いましたが、イジメの事実は無かったという回答でした。西原はずる賢く、上手く逃げ回っているに違いありません。






 外の景色を眺めながら仲村はこう言いました・・・・。






仲村「柴田よぉ・・・・・・西原達・・・・・殺すわ・・・・・」




柴田「なっ・・・・・・」




 絶句。絶句でした。


 いきなり何を言いはじめるんだこいつは・・・。




 正気なのかこいつは・・・・・冗談だよな・・・・きっと・・・・




仲村「て・・・手伝ってくれるよな?」


柴田「・・・・お前何言ってんだ?・・・・冗談なんだろ?」




 仲村の顔はいつになく真面目でした。長い前髪の奥の瞳は一切笑っていませんでした。




仲村「冗談でそんな事言うと思う?・・・でもな・・・柴田をこんな大きな事に誘うなんて俺にはやっぱりできないな・・・・1人でやらなきゃいけないよな・・・そういうことはさ・・・・。でもどうしても柴田に言いたかった。言いたかったんだよ。それだけなんだよな」




 私には友人が言っている事が理解できませんでした。恨んでいる人間がいないわけではありませんが、本気で殺すなんて事をこれまでの人生の中で考えた事が無かったからです。


 本気か冗談かは置いといて、今の仲村の考え方を変えないといけません。常識人の私はどうしても正しい事しか言うことができなかったのです。

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