第12話 友人との土曜日
仲村が西原達にイジメられている事は周りも全員知っていることだと私は思っています。担任や教師にこの件を言ってもうやむやにされるばかりで、所詮他人事でした。むしろその事を告げ口した人間も西原達から仕返しを受ける始末です。西原はどれだけの力を持っているんでしょうか。
仲村とは現在付き合いは無くなり、1年生の時だけの付き合いであっても、友人は友人です。彼とは紛れもなく友人らしい事をしてきたのです。なので私はこの状況をなんとかしたいのです。
土曜日はリュウと出かける約束をしていましたがそれを断り、自転車で仲村に指定された時間通り学校の自習室に向かいました。
到着すると、仲村は数少ない防音シート完備した個室の自習部屋に入っていました。扉越しに顔を出してノックすると笑顔で仲村は扉を開けてくれました。
仲村「おはよう柴田、来てくれてありがとうな。予定とかあったんじゃないか?」
柴田「おはよう仲村。無いよ予定なんか。・・・いつもここで自習してんの??」
仲村「まぁ、土曜日はほぼ日課になってるよ。予習が間に合わなくてさ」
因みに今何の本を読んでいるのか、机の上を確認した所、プラモデルの本でした。教科書の間に忍ばせて持ってきているようです。
柴田「なんだよお前(笑)勉強していると思ったら趣味の本読んでるじゃねぇか」
仲村「・・・・昨日言ってた仕返しの話?・・・・・これだよこれ。まさにこれ・・・」
彼は一体なんの事を私に言ってるんでしょう。確かにプラモデルが趣味であることは以前から知っていました。プラモデルで仕返し??
土曜の自習室を使用してまでやる大事な事なのでしょうか。
本を一通り見た所で、今度は食堂に行こうと誘われました。
部活動用に食堂も昼だけ短時間開放されていました。
仲村「奢るから、奢るから」
柴田「えっいいよそんなの」
奢りは断りましたが、アイスコーヒーを奢って貰い、食堂の端っこの席に腰掛けました。
柴田「奢ってくれてありがとう。・・・・でもなんか久々だよな仲村とこの席でコーヒー飲むのは。確か1年生の頃に座った食堂の席もこの席だったような気がする。」
仲村「あー・・・・確かに・・・。俺はあの頃が一番楽しかったなぁ。土日に柴田と会って、自習後に一緒によく映画を見に行ったよな。カラオケも行ったっけ?」
高校に入学し、直ぐに勉強で忙しくなってしまいましたが、高校生らしい思い出が私達にも少なからずあったのです。
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