第6話 修治との会話


 三年生初日から問題を起こしている修治は私の後ろの席に座りました。


 修治「それにしても柴田、久しぶりだな」


柴田「ホントに、・・・・相変わらず修治は無茶してるなぁ・・・本気で退学になるぞ・・・。まぁそんなこと気にしてないのか・・・・」



 そんな全国の高校生の中でもトップクラスの破天荒な男修治でしたが、私は彼と面識があり、食堂や廊下などで会えば少し話すような仲でした。一度だけですが、彼の愛車に乗せて貰った事もありました。


 3年9組は様々な個性的な同級生がいるクラスでした。諦めずに真剣に受験に向かう者、そうではなく自分の道を貫く者、それぞれの思いを秘めた人間の集まりがこの3年9組のクラスメートでした。

 面白い人には面白い、つまらない人にはどうでも良く感じてしまうようなクラスでした。




 私は真剣に授業を受けている最中、ついつい目で和歌を追っているのでした。何も考えていなくとも無意識のうちに和歌を追ってしまっています。未練があると言えば当然そうなのです。近くにいてよりを戻すチャンスをこの高校最後の一年で掴むことが出来たのです。しかし、今の所たった一度も目が合いません。向こうは全く私の事を気にしていない事が分かります。


 よりを戻すにはどのようにしたらいいのか、それと受験です。3年生になった私には目指す大きな目標が2つありました。




修治「・・・・柴田、さっきからお前小日向の事ずっと見てるな。後ろの席の俺でも分かる位だぞ。自重しないとお前逮捕されるぞ」


柴田「な・・・・・何言ってるんだよ。変な事言うな」




 修治がいきなりそんな事を言ってきました。気づいていたのです。大当たりなので少し驚きしましたが、修治のニヤニヤを見るとこちらはイラついてしまいます。こいつは人をおちょくるのが大好きな人間です。だから面白いというのもありますが、それでなんとも思わない私は少しマゾっ気があるのでしょうか。


修治「たしかお前、昔付き合ってたもんな。」


柴田「そ、そうだよ。それがどうかしたのかよ」


修治「柴田よ、お前さ・・・・なんで小日向和歌が普通科なのにバドミントン部でスタメン張ってるか分かるか?不思議に思った事はあるか?」


柴田「はぁ?バドミントン?・・・・・」


 


 和歌はバドミントン部に所属しています。


 私の高校のバドミントン部は強豪で、部員全体の9割を体育科の生徒が占めています。殆どが各地の強豪中学からの推薦で選手を集めており、その中で和歌は地元で初のキャプテンをやっている状況でした。


 文武両道で本当にすごいです、私は彼女のルックス以外のそういう部分も好きで、純粋に人間として、とても尊敬していました。


 確かに部活が夜遅くまであり忙しく、勉学が少し落ちましたが、それでもしっかり部活をキャプテンとして引っ張り、何よりもしっかり部活を続けている事が凄いのです。


 付き合っていた時、一緒にバトミントンをやった事がありますが、シャトルスピードが速すぎて全く対応できず、素人目に見ても相当上手い選手です。




 しかし、他の強豪校出身者と比べて学力試験でこの高校に入っている和歌がキャプテンをやっているなんて、普通に考えれば信じられないといった所でしょうか。


柴田「そ、そりゃ上手いからだよ。スポーツは実力の世界だ。当たり前だろそれが。だからキャプテンだし。それに・・・・・地元初のキャプテンだろ?方針が変わったんだよ部活動のさ」


修治「実力?・・・・まぁお前の言う通りそうかもしれないけどな。本質はどうなのかって聞いてんだよ。柴田は実際のあいつの試合する姿を見た事があるのかい、という事を聞いてるんだよ」






るみ「柴田君!芹沢君!何を話してるの!?私語は慎みなさい!!」




 そんな話をしていると、るみ先生に見つかってしまいました。


柴田「す、すいません!」


修治「うぃーす。」




 修治には反省の色が無く、その後はずっと話を聞かずに窓の外を眺めていました。

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