第4話  私達の担任


 全員各自の机に着席した所で、私のクラスの担任である城村るみ(しろむらるみ)先生が来ました。ボブヘアで年齢も若く、クリっとした目の可愛らしい容姿の先生で、生徒から「るみ先生」と呼ばれているとても人気のある先生でした。




るみ 「今日から3年9組の担任になります、城村るみです。よろしくね、みんな。」


 ハキハキとした口調で話し始めるるみ先生。


 るみ先生の自己紹介後にオリエンテーションが始まりますが、もう3年生である私達は受験の事で頭がいっぱいです。先生の事が好きとか嫌いとかではなく、大変失礼ではあるのですが、余裕が無い為あまりるみ先生の話を聞いていませんでした。

 ちゃんと聞いている生徒は余裕がある生徒か、るみ先生を性的な対象で見ている生徒です。



 私のように上のクラスを目指している生徒は、どうせこのメンバーも1学期だけの短い付き合いだとか、こんな成績最下位の9組にいても、ろくなことはないと思っています。


 逆にリュウのような生徒だと、あとは日数を過ごして卒業するだけなので、そこそこの点数さえ取る事が出来れば、別にどうでもいいという気持ちが勝っています。




 この完全に2極化するクラスだから9組は面白いのです。やる気の有る無しは極端な話、生徒の顔や雰囲気を見ただけで分かります。この2つの思いを背負った学生たちの思いが交錯している9組が私の3年生1学期のクラスでした。




 この後簡単なオリエンテーションのような学活の後、次の時間には受験に向けた戦いが始まります。




 正直な話、オリエンテーションどうでも良いのでもう自習をしていきたいのですが、もうこれは毎年、毎学期お決まりですので仕方ありません。暫くこの寸劇に付き合わなくてはいけません。


 私は窓際の席でしたので、暇つぶしに窓の外を眺めていました。すると・・・。




 ブオオーーーン!!!・・・・チャカチャカチャカチャカ・・・・。


 


 車のエンジンとと音楽の爆音が聞こえました。


柴田(やっと来たか・・・そういえばあいつも同じクラスだったな・・・。)


 この音・・・・・毎日では無いですが、今やこの学校の風物詩になっています。ファンファーレのような物です。


 るみ先生も「またか・・・」と言わんばかりの呆れ顔で窓の外を一瞬確認しました。




 芹沢修治(せりざわしゅうじ)、それが彼の名前でした。この爆音車の持ち主です。

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