第3話 私の唯一の救い
柴田「リュウよ、また同じクラスになっちまったな。」
リュウ「よぉ柴田、・・・なっちまったってなんだよ。ようこそサンキュー3年9組へ。席は俺の横。ロッカーはそこ。」
友人のリュウはここの所暫く、この成績最下位である9組での生活が続いておりました。9組の主。9組歴で言えば先輩です。私の高校生活の後半は一度8組に上がったと思えばまたすぐに9組に戻ってくるようなそんな学生生活を送っていました。
リュウは専門学校に行けたら行くと出会った頃からずっと言っていて、最悪の場合高卒でそのまま家業である居酒屋を継いでも良いとも言っていました。そのような人間が何故私達のような完全なバリバリ進学校に入学にしたのでしょうか。初めから商業高校や調理師免許を取得できる学校に行った方が効率良かったのではないかと私は思ってしまいました。効率が滅茶苦茶悪いように感じましたが、でもまぁそれは彼の自由です。リュウがどうしようが私には止める事は出来ません。
学期が変わると異様に面倒くさい作業をしないといけない事があります。それはクラスが変わる度に、いちいち自分のロッカーの物を次の教室へ移動させないといけないことです。一苦労でした。成績の推移によっては下手したら毎学期引っ越しをしなければいけません。この学校で荷物というものは本当に邪魔な物でした。教科書と必要最低限の荷物で良いのです。それ以外の思い出の品は必要ございません。
2年の時に上位クラスに居た人間も、勉強しなければたちまち9組に落とされてしまいます。そういう人間もこの9組には沢山いました。
リュウ「おい・・・早川さんが居るぞ・・・・。」
柴田「そうそう、俺もクラス席順を見た時本当にビックリしちゃったよ。滅茶苦茶可愛いよな。」
元々1個上の先輩であった金髪がとても似合うマドンナ早川も同じクラスでした。出席日数が足りず、留年した関係で同じクラスになる事が出来ました。透き通るような色白で金髪のロングヘアにピアスをあけていました。これは非常に嬉しいです。まぁ当然早川さん側からしたらこんな馬鹿達と最後一緒に過ごすのは全く嬉しくないでしょうが・・・・。
私はそれよりも何よりも、もっと嬉しい事があったんです。
私は1年生の頃に付き合っていた彼女が居ました。その彼女と今回久しぶりに同じクラスになる事が出来たのです。2年生に上がる頃に残念ながら別れてしまいましたが、本日からまた一緒のクラスです。未練たらたらで、もし向こうさえ良ければ寄りを戻したいのです。チャンスはもうないでしょうか。
「あら、柴田?」
ダンボールを抱えるその女生徒はトイレに行こうとする私に声をかけてくれました。彼女こそ、私の元カノである小日向和歌(こひなた わか)です。昔と変わらない表情で私に話しかけてくれました。
ボーイッシュな雰囲気でショートカットの髪型に長身でスタイルが良いです。身長は167cmあります。何故私はこんなに綺麗で可愛い彼女と別れてしまったのでしょうか。
柴田「和歌・・・・。久しぶりに同じクラスだね。よろしく。」
和歌「うん。こちらこそよろしく。」
和歌はバドミントン部のキャプテンで、県大会で上位に入る腕前です。既に大学から推薦が来ていると言う話を風の噂で聞きました。凄い選手なのです。勉強でも入れないような大学にも入学が出来てしまいます。
リュウ「柴田お前そういえば、和歌と昔、付き合っていたな。やりにくいクラスなんじゃないのか?」
柴田「いやいや、そんなこと無いよ。むしろ久々に同じクラスだから嬉しい。むしろ喜んでいるよ俺は。大喜びだよ!」
リュウ「そうなのか?・・・まぁ悪い別れ方じゃないって事か?」
柴田「リュウには前に話したかもしれないが、俺が一方的にフラれてしまったような感じなんだよなぁ。まぁ・・・愛想が尽きたんだろう、俺に対して。あーあ、なんとか寄りを戻したい。和歌よりいい子って居ないもんな俺の中でさ。そりゃ好みもあるだろうけどさ。」
友人のリュウのせいで昔のことを思い出して少し卑屈になってしまいました。しかし和歌の良さをリュウに猛アピールする事が出来ました。
リュウ「俺にそんなアピールしてどうすんのよ」
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