十四日目の鐘

 これは、何だろう。 

 耳を直に刺激する振動は、外からのものなのか内側で揺れるのか分からない。ただ優しく、脆いようで芯があり、触れられなさそうで確かに在る。

 しばらくその振動に身を任せているうちに、瞼を閉じているのにやっと気がついて、ゆっくり目を開けた。

 視界の中に広がるのは薄明かりが広がる空間だった。

 首を動かすと、壁には棚が設られ、各段に木製の籠や綱や金物などが配されている。どれも使い込まれて古びた質感だが、みすぼらしくはなく整然と並んでいる。

 別の壁には、重そうな布袋が重ねてある。粉類を入れたように重力に任せた形を作るそれら。

 物置のような、だが日頃から使われているこの場所には見覚えがあった。

「シレア城……」

 あの城で最初に飛び込んだ、城の最下層だ。

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