十四日目の鐘
これは、何だろう。
耳を直に刺激する振動は、外からのものなのか内側で揺れるのか分からない。ただ優しく、脆いようで芯があり、触れられなさそうで確かに在る。
しばらくその振動に身を任せているうちに、瞼を閉じているのにやっと気がついて、ゆっくり目を開けた。
視界の中に広がるのは薄明かりが広がる空間だった。
首を動かすと、壁には棚が設られ、各段に木製の籠や綱や金物などが配されている。どれも使い込まれて古びた質感だが、みすぼらしくはなく整然と並んでいる。
別の壁には、重そうな布袋が重ねてある。粉類を入れたように重力に任せた形を作るそれら。
物置のような、だが日頃から使われているこの場所には見覚えがあった。
「シレア城……」
あの城で最初に飛び込んだ、城の最下層だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます