十三日目の鐘

 無数の星々が濃紺の空を飾る、空気の澄んだ冬の夜。

 大気は冷え、雑音は雪に吸い込まれ、シレア城下に沈黙が満ちる。

 あたかも万物が息をひそめ、なににも妨げられずにあの音色が立ち起こるのを待つように。

 今宵の白月は妙に冴え冴えと透明度高く、白き文字盤を持つ鐘楼の真上に昇る。

 長針が一つ、動いた、


 妙なる音が鳴り響く。天が動いたことを知らせ、時を告げる。



 ——鐘……


 身のうちに生じた振動に、アウロラは目を覚ました。


 時計台を望むシレア城へ、星辰の瞬きが溢れ落ちた。

 

 

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