【犯人⑤】『白狐』

「犯人は、お前だ。白狐」


 紅貴は、人差し指を白狐に向けた。が、白狐は、座りながら船を漕いでいる。


「……すやすや……」


「寝るなーっ!!」


 紅貴の怒声に、白狐が眠気眼をこすりながら反応する。


「う、う~ん……もう朝?」


「『もう朝?』じゃなーいっ!! お前は夜行性なんじゃなかったのかっ! 一体いつまで寝てる気だ?!」


「犯人は、おれじゃないよ。残念でしたぁ~☆」


 白狐が笑いながら言った。


「な、なにっ?!」


「証拠、あるの?」


「………………ない」


「はい、もう一回よく考えてみてね~」


(くそっ、証拠がないと犯人を追い詰められないぞ)

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