第3話 犯人は、もう判っている。

 紅貴は、息を吸った。犯人は、もう判っている。


「犯人は、お前ら、全員だ!」


 紅貴が全員に向かって人差し指を指す……もちろん、一度では指せないので、伸ばした腕をぐるりと一周させた。


 全員の顔色が変わる。


「何を言っているんだ。ここにいる全員が犯人だなんて……そんなバカな」


 先に口を開いたのは、所長の紫皇だった。


 花月が、何かに気付いたように口角をあげる。


「ふっ……なるほど。どうやら俺たちは、先入観に囚われていたようだ」


「先入観だと? 一体どういうことだ?」


 紫皇は、花月の言うことの意味がわからず尋ねた。


 すると、夜兎がはっとした顔で手を叩く。


「そうかっ、つまり……」


「プリンは一つじゃなかった。そういうことだね」


 白狐が夜兎の言葉を継いで言った。


 琥珀は気付いていなかったようで、驚きに目を大きく開く。


「なんだって?!」


 紅貴は頷いた。


「そう。俺が買ってきたプリンは、一つじゃない。プリンは全部で……六個あったんだ!」


「六個? 俺が見た時には……あ、いや。そのプリンの数がなんだっていうんだ。俺たちがそれを食べたという証拠でもあるのか?」


 紫皇の質問に、夜兎が言葉を重ねる。


「そうですよ。誰かが一人で全部食べたかもしれないじゃないですか」


 全員を犯人呼ばわりしたことで、全員を敵に回した紅貴は、それでも尚、自信に満ちた笑みを浮かべた。


「証拠ならあるぜ」


(ここにいる全員がプリンを食べたという証拠。それは……)



⇒【選択肢①】『アリバイ』

⇒【選択肢②】『匂い』

⇒【選択肢③】『スプーンの数』

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