【犯人④】『琥珀』

「犯人はお前だ、琥珀」


 紅貴は、人差し指を琥珀に向けた。


 琥珀は、怒った顔で反論する。


「なんでオレなんっすか。オレは、プリンがなくなった後に出社したんっすよ」


「さっきも言ったが、給湯室には、この事務室を通らなくても入ることが出来る。出社する前に腹ごしらえをしようとでも思ったんだろう。冷蔵庫を開けて、プリンを見つけたお前は、それを食べたんだ!」


「な、なんでそんなことが分かるんっすか。証拠でもあるんっすか? オレがプリンを食べたっていう」


「証拠だと? そんなもの必要ないだろう。この俺の完璧な推理があればな!」


「そんなものは推理でもなんでもない。ただの妄想というんだ、あほぅ」


 花月がツッコミを入れた。


「なっ、……花月は黙ってろよ。俺は、琥珀に言ってるんだ」


「オレも納得できませんね。証拠を出してもらわないと」


(くっそ~、証拠さえあれば……!)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る