【犯人③】『花月』
「犯人は、お前だ。花月」
紅貴は、人差し指を花月に向けた。
「ほぉ、どうして俺が犯人だと?」
花月が面白そうな表情で眼鏡のフレームを上げる。
「紫皇に昼食を誘われたが、手が離せないからと断ったのは、嘘だ。本当は、冷蔵庫に入っているプリンの存在を知っていて、一人でこっそり食べようとしたからなんだろう」
「……あのな、お前じゃないんだ。俺がそんな意地汚いことをするように見えるか? 第一、どうやって冷蔵庫の中にプリンがあることを知るっていうんだ。俺は、トイレに行く暇もないくらい忙しかったんだぞ」
「そ、それは……朝、出社してきた時とか。お前は、いつも業務開始時刻より早く来るじゃないか」
「お前、さっき言ったよな? プリンを冷蔵庫に入れたのは、午前11時頃だって。その頃俺は、ちょうどクレーマーからの電話対応をしていた。なんなら通話履歴を確認してもいい」
「ううっ……」
「俺を犯人扱いするなら、確固たる証拠を持ってきてもらおうか」
(うう……証拠か。犯人がいるんだ、きっとどこかに……)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます