【選択肢③】『スプーンの数』

「ここにいる全員が犯人であるという証拠。それは……ゴミ箱に捨てられていたスプーンの数だ」


 琥珀は、訳が分からないといった顔で紅貴を見る。


「はぁ? なんでそんなのが証拠になるんです?」


「琥珀、お前がもし一人でプリンを二個以上食べるとしたら、使うスプーンの数はいくつになる?」


「そんなの一つに決まって……あっ」


「そう。もし、一人の人間が複数のプリンを食べていた場合、スプーンの数は一つになる。だが、ゴミ箱に捨ててあったのは、空になったプリンの容器が五つと、使って汚れたスプーンが五つだったんだ」


 すると、花月がふっと笑って言う。


「なるほどな。ここにいる人数とスプーンの数がぴたりと揃う。これは、もう言い逃れできないな、所長」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る