第4話 再会の約束
「じゃあな。助かったよ」
そう言うと、彼はオフロードバイク・・・。ホンダXR250にまたがり、ハンドル左側についている小さなレバーを引いたり戻したりしながら、キックスターターを踏み降ろす。
「ドルン!ドドド・・・・。」
キック一発で目を覚ましたホンダは、重低音の排気音を奏でる。
さっきの峠道の2ストレーサーレプリカとは対局の排気音だ。
エンジン始動と同時に点灯したヘッドライトが林道の先を照らす。
「いえ、僕の方こそ、いい経験とお話しを聞かせてもらえて楽しかったです。」
彼は器用にタンクの上に犬を乗せる。このまま、止めてあるピックアップまで走っていき、バイクを積んで帰るそうだ。
「そうだ、あんたは明日の昼頃まではここにいるのかい?」
彼はゴーグルをかけながら、僕に聞く
「ええ、そのつもりです。」
ここで一泊して、高速道路が混む前に帰る予定だ。
「じゃあさ、ちょっと出発を遅らせててくれよ、このISDEジャケットの次の型をこないだ買ったからさ、今日はちょっと寒いから脱いで帰れないけど、明日、またこの辺に来る予定だから、このジャケットをあんたにあげるよ。」
僕はあわてて
「いえいえ、そんな高価なもの、いただけませんよ!」
5万から7万もするというジャケットをあっさりくれるという申し出に僕は驚く。
「いいっていいって、今日、あんたがいなきゃ、こいつも見つからなかったし、このジャケットも、タンスの肥やしにするのもなんだしな。」
彼は、猟犬のアタマを撫でながら言う。
はあ、という返事をする僕に、
「じゃあな!また明日な!」
そう言って、彼は走り去っていった。
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