第25話 ということで、バトルシーンなのだが……以下、省略wwww

 ケテレツ = ヘッポコフ。それは神民病院の医者にして融合加工院の技術者である。

 彼こそが、人と魔物組織を融合させた第三世代の開発者。

 そんな彼が試作体として作り出してきたものは、とても醜かった。

 いや、醜いなどという生易しいものではない。

 切り刻んだ魔物の体に人の生首つけてみる……

 それが、何の目的のために生み出されたものなのか想像すらできない。

 だが、人の顔は生きている。

 息をして、うめき声を漏らすのだ……

 もはや、ケテレツという人間の狂気を満足させるためだけに融合加工された生き物のようにも思えるのだ。


 ――虫唾が走る……

 お菊はケテレツの顔を思いだしただけでも、胸がむかつくのを覚えた。

 だが、彼が作るのは第三世代。

 すなわち、魔物ではなく人間なのである。

 しかも、ケテレツはこの融合国の宰相にして第一の門の騎士アルダインの神民。

 お気に入りなのだ。

 もし仮に、目の前の醜悪な首なしゾンビがケテレツの作品であれば、それを破壊してしまえばお菊たちの責任問題になりかねない。

 ならば、とりあえず、拘束して動けないようにしておくのが吉というものなのである。

 それを部下たちに命じたお菊は、大きく口を開けた焼却炉からわずかに空気が漏れ出していることに気が付いた。


 お菊は焼却炉の中を覗き込む。

 大きく口を開ける闇。

 本来あるはずの底がない。

「お前たちは、私が戻るまでここで待機しろ」

 そういい終わると、その細身の体を焼却炉の口へと潜り込ませた。


 カンカンと鉄格子が音を立てて降りていく。

 お菊の口に咥えられた明かりが、徐々に底を照らし出す。

 底を取り囲む石壁には人一人通れるほどの横道。

 その横道に足を踏み入れようとしたとき、お菊の背後から声がした。

「僕も一緒に行くよ」

 そう、それは坊主頭の万命寺の僧、コウエンであった。

 振り向くお菊は、あきれ顔。

「お前は、どこまでもおせっかいな奴だな……」

「まぁ、乗りかかった船だし、というか、ビン子ちゃんの事が気になるからね」


 二人は暗い穴をゆっくりと進む。

 コウエンは目の前を歩くお菊に声をかけた。

「どうして、僕の願いを聞いてくれたんだい……」


 そう、このちょっと前、コウエンは屋上でお菊たちの足元で土下座をしていた。

 というのも、先ほどから何やら嫌な感じの胸騒ぎがして仕方がなかったのである。

 だが、目の前に立つお菊たちの身なり……コウエンが秘密警察という存在を知らずとも、かなりヤバい奴らだということはすぐに分かった。

 そして、地面に頭をこすりつけながら思うのだ。

 こんなヤバそうなやつが、自分の願いを聞いてくれるだろうか……と。

 というか、普通に考えたら、自分も含め、見ず知らずのタカト達を助ける義理などないのである。 

 ――しかし、自分は仏に使える身……

 当然、コウエンには、それがいらぬおせっかいであるという事は重々承知の上。

 だが、不幸の淵に立っている人には、何とか手を差し伸べたいと思うのだ。

 それがたとえ届くことがなかったとしても……

 自分ができる限界まで手を伸ばす……伸ばしきる。

 それこそが師であるガンエンの教えだった。

 だが、目の前のヤバい奴らは自分とは違う。

 どう見ても、人を助けるというより、人を殺すことですら何とも思っていないように見えるのだ。

 そう考えると、一介の貧乏僧の懇願など、きれいさっぱり!完全に無視されるに決まっている。


「お願いします! 僕と一緒に地下に来てください!」


 お菊は足元にひれ伏すコウエンを侮蔑するような視線で見下す。

「なぜ、私がお前の言う事を聞く必要がある?」

 当然の言葉である。

 だが、コウエンはひたすら頭を下げ続ける。

「友達のタカトが危ないんです……たぶん……」

「たぶん……だと?」

 そう、今のコウエンには確信がなかった。

 なかったが、いやな胸騒ぎだけはし続けていたのだ。

 この胸騒ぎがタカトの明らかに危険を告げている。

 しかし、そんな予感にも近い言葉で人を動かせるだろうか。動かせるわけはない。

 そんなことはコウエンにも分かっている。

 分かっているが、コウエンにはこれしかなかった。自分の想い、いや手を伸ばし切るには……

  だが、お菊から帰ってきた言葉は信じられないモノであった。

「そうか……タカトの身が危ないというのだな……」

 そういい終わると、手に持っている短鞭を手のひらに打ち付けながら階下に降りるドアへと歩き始めたのだ。

 それを見送るコウエンの目は、何が起こったのか分からないようすでキョトンとしていた。

 だが、お菊たちが階段を降り始めるころには我に返り、その後を追いかけ始めたのである。


 暗い穴の中でコウエンは目の前を進むお菊に問いかける。

「どうして、僕の願いを聞いてくれたんだい……」

 お菊は足を止めずに小さくつぶやいた。

「なに……タカトには借りがあるからな……」

「借り?」

「ああ……奴は……孤独な私に光をくれた……」

「そうか……意外といい奴なんだ。タカトは」

「それが間違いの元だった……奴にほだされた私は……奴に禁忌の品を渡してしまった……」

「禁忌の品?」

「それを取り戻すまでは、奴に死なれては困るんだ……ただ……それだけだ……」

「ふーん、まぁ、そう言う事にしておくよ」


 そして、今……コカンをつぶされノックダウンしているタカトを見下すようにお菊が立っていた。

「立て! 天塚タカト! それでも男か!」

 これは怒りというより叱咤激励!

 どう見てもタカトを憎んでいるようには思えない。

 背後でその様子を見ていたコウエンは、なにやらお菊の言い表せない切ない思いを感じ取っていた。


 その言葉に反応したのか、タカトが腕をつき上半身を起こすと、

「ちっ! 俺としたことが眠ってしまっていたぜ……」

 って、寝てただけ?

 いやいやいやwww巨漢のエルボーが股間を直撃したんですから、無傷というわけにはwww

 ということで、タカトも気になるのか。

「というか……俺のコカンは……大丈夫なのか……」

 と、おもむろにズボンの中に手を突っ込んで中の状態を確認し始めた。

 だが、抜き出した手は真っ赤っ赤!

「なんじゃこりゃぁぁぁぁ!」

 手のひらを見るタカトは当然驚いた。

 しかし、すぐさまお菊の檄が飛ぶ。

「たわけ! それはただのタコさんウィンナーについたケチャップだ!」

「なんだwwwケチャップかぁwwww」

 タカトは照れ笑いをしながら頭を掻きはじめた。

 って、マジ? これ……マジでケチャップなの?

 というか……タカト君……いつケチャップなんてポケットの中に隠し持ってたっていうんだよwwwそんな暇あった?

 タカトが手の平についたケチャップに臭いを嗅ごうと鼻に近づけた瞬間、お菊の持つ短鞭がパチンとその手をはたいたのだ。

「今はそんなことをしている暇ではないのだろうが! 貴様はビン子を助けるのではなかったのか!」

 短鞭がさす先には、苦悶の表情を浮かべるビン子が横たわる。

「た……たすけて……タカト……ひっ! ひっ! ふー-----」


「ビン子!」

 タカトはコカンの痛みも忘れて咄嗟に立ち上がった。

 だが、その前に二人の黒フード!

 そう、オスカルとアンドレが立ちふさがった。

「イカせないよwww」

「こいつはエウア様にささげる供物!」


 その言葉にお菊は上段に控える気配へと目を送った。

 そこにはエウアと名乗る女が玉座に腰掛け、先ほどからジーっとコチラをにらみつけていた。

「貴様がエウアか?」

 エウア教を目の敵にするお菊にとっては天敵といってもいい存在のはず。

 だが、お菊は鼻でフッと笑うのだ。

「いつからエウア教はイブ以外の神を信じるようになったのだwww」

 その言葉にオスカルとアンドレが驚いた。

「「え? エウア教ってエウア様を祭るのではないのか⁉」」

「馬鹿かwww貴様らwww原始の神イブ、それがお前らの言うエウアだ」

 そう、エウア教を目の敵にするお菊だからこそ分かっていた。

 イブ……その名は所によってエウア、エバと変わりゆく。

 その一つの名前を取って原初の神を崇拝しはじめたのエウア教。

 すなわち、全てイブを指している。

「なんだってぇぇぇぇえ!」

 オスカルはムンクの叫びをあげる。

 そして、アンドレはエウアを見上げて大声を上げていた。

「エウア様‼ 私たちは騙されていたというのでしょうか!」

 もう、二人はタカトどころの話ではない。

 だが、エウアは落ち着いていた。

「何者かは知らぬが……我が真名を知っているとは……」

 それを聞くや否やエウアとアンドレは歓喜の表情に変わっていた。

「ああ! やはりエウア様はエウア様であられました!」

「不敬な私どもをお許しください! エウア様!」

 

 しかし、お菊はエウアから目をそらさず、じっとその瞳を睨みつけたままであった。

 それはまるでエウアの心を読み取ろうとしているかのようにも思えた。

 ――奴の目は金色……

 ということは、神であることは間違いないだろう。

 ――だが、奴がイブというのは腑に落ちない。

 かつての話では、イブは男の生気をむさぼり生を永らえてきたという。

 そう、男の生気……イブはとにかく男の生気を好むのだ。

 そのため、この聖人世界の現存する神は男の神が極端に少なくなったと言われているのである。

 ――だが、どうだ……

 奴が嬉々としながら今、飲み干そうとしている生気は女の生気……

 女の生気が飲めるのであれば、初めから男女問わずむさぼっていてもよかったのではないのか。

 確かに、男の生気が手に入らない状態では贅沢を言っている場合ではないのかもしれない。

 そういう状況になれば、イブと言えども女の生気に手を出すことだってあり得るだろう。

 ――しかし、今はどうだ?

 目の前に不細工とはいえタカトがいるのだ。

 奴がイブというのであれば、男であるタカトの生気を放っておくわくはずはない。

「貴様……何者だ……」


 それを聞くエウアの眼光が厳しくなった。

 そして、勢いよく玉座から立ち上がると、

「お前たち! 何をしておる! はやくコイツラを殺してしまいな!」

 まるで真実が漏れ出すのを焦るかのように大声をあげて命令した。

 それに呼応するかのようにミーニャはルリ子に、オスカルとアンドレはお菊へと対峙した。


 お菊は短鞭をサッと二人に向けると

「かかってきな! このザコどもが!」

 そう、こんな奴らに構っている暇はない。

 あのエウアと名乗る神をひっとらえるなければならないのだ。

 だが、あの玉座に行くには目の前の二人を倒さないといけないようである。

 ――ならば、さっさと片づけて、エウアという神の化けの皮をはがしてやろう

 お菊がいかにNHK、すなわち秘密警察のリーダーであったとしても二人の怪人を相手にするのは骨が折れるにちがいない。

「やせ男の方は僕が相手をしようか?」

 それを見越したのかコウエンがお菊に声をかけた。

「アイツ、ああ見えてもかなりの手練れだぞ」

「まぁ、僕も伊達に万命寺で修行をしているわけではないからね」

「なら一つ頼むとしようか」

 と、話がまとまったころ、さらに別の声がした。

「オイ! そこの軍服を着たクソ女!」

 そう、それはミーニャを相手にしているルリ子の声。

「ちょっと変われよ! さっきからどうにもコイツとは相性が悪いんだわ。そこの糞みたいなデカブツなら、遠慮なくぶっ飛ばせるしな!」

 ミーニャの武器は「ヤマダのオロチョン」。

 9つの長いビニールひもの先端に洗濯ばさみが付いた遠隔武器

 しかも、それが10本の指全てに結びついているのだ。

 さすがに金属バットの近接型のルリ子には少々相性が悪かった。

 お菊はちらりとルリ子を見ると、

「ああ……いいだろう。代わってやるから、しっかりとぶちのめしてこい」

「言われなくても、立ち上がれないぐらいにボコってやるよw」

 ということで、ルリ子とお菊は立ち位置を変えるかのように入れ替わった。


 ということで、バトルシーンなのだが……

 小説で書くには少々面白くない。

 なので、この小説が漫画やアニメになった際に、この場面は頑張ってもらうということで、今しばらくは読者の皆様の妄想で補完していただきたいと思うwwww

 えっ? 手抜き?

 手抜きな訳あるかい!

 これはあくまでも漫画やアニメを制作する人のことをおもんばかっての事。

 だいたい、すべて私が書いてしまっては作り手の想像力、見せ場がなくなってしまうではないか!

 なので!

 バンバン! ガンガン! バシバシバシ!

 以下、省略wwww

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