3話「面倒事(1)」
カタリ、と物音が響いた。
次に、コン……と静かな音が響いた。
最後にこの部屋の扉を叩く音がした。
仕方がないので振り返る。仕方がないので扉を開く。
またいつもの人が面倒事でも持ってきてくれたのだろう。
扉から覗く影の大きさを見て、相手に分かりやすいように溜息をついてやった。
……というのにその人物は気にせずに部屋に入ってくる。
画家「…………また、君?もう来ないで欲しいんだよ。」
その人物は何も言わない。
その不定形な肉体では何もできない。
だから追い返す。多分いつも通り扉の前に依頼を書いた紙を置いていくのだろうけど。
今回こそは無視をしてやる。今回も無視をしてやる。そう決めてから無理矢理追い返す。
その人物のポケットから落ちた紙を見て、そのまま無視をした。
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