第5話 風の精霊リオとの邂逅

 石の扉をくぐると、そこには新しい世界が広がっていた。空気が濃密で、風が絶え間なく吹き抜けている。それは自然というよりも、何か意思を持った存在に感じられた。


 「ここが……次の場所なのか。」

 僕が呟いたその時、突然、突風が巻き起こり、目の前に銀色の光が現れた。光が次第に形を成し、少年の姿となる。銀髪の少年は透明感のある目で僕を見つめ、口元に薄い笑みを浮かべた。


 「やっと来たんだな、新しい柱の守り手。俺はリオ、風の精霊だ。」

 リオは軽快な声で話しながら、風の中を漂うように僕の周囲を回る。


 「君が守護者……?」

 「そうだ。けどお前、ずいぶん息が浅いな。ここにいる以上、風と繋がらなければならない。風は動きを司るエネルギー。深い呼吸ができなければ、次には進めないぜ。」


 リオは手をかざすと、辺りの風が集まり、一瞬で渦を作り出した。僕の体は風に包まれ、足元が浮き上がる。


 「さあ、俺と一緒に呼吸を合わせてみろ!」

 リオの指示に従い、僕は深く息を吸い込んだ。風が肺に入り込み、身体全体を満たす感覚が広がる。次第に、僕の中に新しいリズムが生まれ、風と一体化していくようだった。


 「いい感じだ。でも、風は気まぐれだ。しっかり掴んでいないと逃げてしまうぞ。」

リオの言葉通り、風は突如方向を変えたり、力を弱めたりする。僕はその変化に合わせるべく、呼吸をコントロールする方法を学んでいった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る