第3話
「…。」
僕は高校生になっても千紗のベットに潜り込むことが週3くらいであった。
千紗も特別何も言わない。
朝、目覚めると千紗は居なくてキッチンに立っていることが多かった。
僕は寝ぼけながら千紗にくっついて、
「ちーたん、おはよ。」と声をかけると
「はいはい。おはよ。」と笑いながら返してくれる。
でも僕は僕なりに悩んでいた。
中学、高校と何人か付き合ってはみたものの、一人として、楽しいと思った人はいなかった。
また好きになった人もいなかった。
ある日、高校二年生の頃、中学からの同級生のミリヤが遊びに来ていた。
千紗の事を唯一『千紗ちゃん』と呼ぶ奴。
「ねぇ、流星。」
「ん?」
リビングのソファで向かい合って座ってまるでミリヤは我が家のようにリラックスしていた。
「流星、あたしと付き合わない?今お互い居ないしさ。」
僕はチラッと千紗を見た。
「なんで千紗ちゃん見るの。」とミリヤが笑う。
「え?一応ね。母の了承というものがいるでしょ。」
「今まで取ってたの?」
「いや?一切?」
「じゃあ、いいじゃん。」
「…やだな俺。」
「…へぇ。意外。」
「…?」
「二つ返事で乗ってくると思った。」
僕はミリヤの言葉に違和感を感じた。
「…ミリヤだから。適当はダメでしょ。」
「そう?…てかさ、流星、千紗ちゃんと付き合ったら?」
「はぁ?千紗が気持ち悪がるって俺はよくても。」
「…『俺は良くても?』」
「……」
「やっぱりな。」
「うるせぇ、そんなんじゃねぇ!」
「じゃあ千紗ちゃんに彼氏出来たり急に結婚したいって男連れて来たらどうすんの?」
「…『勝手にすれば』って出てく。」
「出てってどこ行くの?」
「…ミリヤのとこ。」
「…本当に好きなんだ。」
「……。」
僕はまた千紗の部屋に入って千紗の布団に潜った。
「ちょっとやりすぎたかな。」ミリヤが千紗を見る。
「いいんじゃない?2人のやりとりなんだから。」
「千紗ちゃんはいいの?あいつ絶対結婚できないよ」
「いざとなったらもらってあげて」
「あたしはいいけど、あいつがねぇ。」
「そうね…。流はあたしが一番だからね。」
「でも実際千紗ちゃんはどうなの?いいなって思う人いないの?」
「うーん、あたし流星が小さい頃からずっと流星しか興味なかったから。今もだけどさ。何した訳でもないけど、私が思うに、流星以上の男はどこ探してもいないと思う。だって私が育てたから。」
「…凄いな。。だから流星も千紗ちゃんがいいんだろうな…。ちゃんと全部分かってくれるから。」
「…」
僕は無言で千紗の部屋から出てきて千紗に抱きついた。
「…ちーたん好き。」
「うん、あたしも流星好きだよ?」
「…ならいいや。」
「『嫌い』なんて言うはずないじゃん。」
その二人を見てミリヤは今までの年数の中で2人が築き上げてきた関係が純で尊いなと感じた。
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