第13話
書き初めを終えた装雁と庭思は、それぞれの作品を見比べながら、どちらが上手いかを話し始めた。
「どうかな?」装雁が自分の「迎春」を見ながら言う。「上手い下手っていうより、かっこいい文章を書いた方が勝ちなんじゃない?」庭思が続ける。
「かっこいい文章?」と、装雁が疑問そうに聞く。
「例えばさ、私の『闘春』とか、かっこよくない?」と、少し自信ありげに言う庭思。
「それはちょっと…」と、装雁が首をかしげる。
「じゃあ、『本日、天気晴朗なれども波高し』の方がかっこいいってこと?」と、庭思が少し驚いた顔で尋ねる。
「!」と、装雁が満足げに頷く。
「それで、そういう文章を選んだの?策士だね?」と、装雁が笑いながら言う。
「褒めてよ。」と、庭思が軽く手を振って答えるが、嬉しそうに笑う。
「こうやって話してると、やっぱり『迎春』が一番普通で落ち着いてるかも。」と、装雁が言う。
「まあ、それはそうだけど。」と、庭思が少し考え込む。「今年はちょっとインパクトを狙ったんだよね。あの文章、何か響くもん。」
「そうだね、波高しってところがなんか強い感じがするもんね。」と、装雁が頷く。
「結局は、どんな文章を書いたかじゃなくて、どう気持ちを込めるかだよね。」と、庭思が真剣な顔をして言う。
「そうだね、それが一番大事だよね。」と、装雁が微笑んで言う。
二人は書き初めを見ながら、少しだけ自分の考えが固まったような気がした。どちらが上手いかではなく、どれだけその時の気持ちを表現できたかが大切だと思いながら、静かな時間が流れていった。
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