第4話

「ねえ、あんまり言いたくないんだけど…」装雁が少し照れながら言った。「さっきからさ、コタツの中であなたの足が、私のお尻に当たってるんだけど、なんでそんなに足長いの?」


庭思は、ちょっと驚いてすぐに足を引っ込める。「ごめん、ごめん。足、引っ込めるよ。」


「うん、そうしてくれないかな。」装雁は少し顔をしかめて言うと、気を取り直して別の話題を振った。「ところでさ、大晦日って何する日なの?」


「え、何言ってんの?」庭思は目を丸くして驚く。「そんなこと、今更何聞くの?」


「いや、別に…何がめでたいのかっていうか、考えるとちょっとよく分からないって思って…。」装雁が少し首をかしげると、庭思は目を細めて言った。


「そんなやついるんだ。大晦日がなんでめでたいか分からないなんて。」


「そんなやつって言うかな、友達に?」装雁は少しムッとして反論する。「脳みそのどこかで、年末の意味がよく分からないんだよ。何する日?」


「大晦日でしょ。」庭思は一息ついて、何事もなかったかのように言う。


「そう。」装雁も少し考え込みながら言う。「なんでその日が特別?」


庭思はしばらく考えてから、ゆっくりと答える。「年が改まるからおめでたいってことだけだよ。あとは宗教的な儀式かな?めでたい事って、1年に1回、大きいのがないと…新しさが欲しくなるという…世間の要請?。」


「そういう企画なんだ。」装雁は少し笑って、うなずく。


「大晦日は企画だよ。」庭思が軽く肩をすくめて言った。


「なんか、テレビ局みたい。」装雁はからかうように言う。


「楽しめれば面白くなくてもいいんだよ。」庭思はにっこりと笑って答える。


「意味がわからないけど。」装雁は首をかしげながら言った。


「もともと意味とか、わからないんじゃない?」庭思は適当な感じで言うが、少し真面目な顔になる。「だって、テレビ局だって…その存在自体、意味がよくわからないし。」


「テレビ局の意味?」装雁が少し混乱したように言うと、庭思は頷きながら続ける。


「大晦日って、宗教の始まりだとしても、テレビ会社のイベントみたいになって?農業とか、暦とか関係してたかもしれないけど、今の時代だとそういうの形骸化してて…。」


装雁は少し考え込んでから、ゆっくりと言った。「ふーん、もし農業とかやってなかったら、別に大晦日も必要なかったかもね。」


「そうそう。」庭思は?な顔で言う。


装雁は少し考えながら、うなずく。「う?ん?」


「そそ。」庭思は肩をすくめて、再びテレビに目を向けた。画面には年末特番の賑やかな音楽が流れ、二人の周りにはただ穏やかな時間が流れていた。

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