第5話 雑談と出鼻

僕は顔が三つある巨大な魚の解体を見ながら食卓に着いていた。運ばれてきた料理は香ばしく甘露煮のような香りをしていた。見たことのない葉っぱに包まれており、ナイフで切り裂くと中からスパイシーさと甘ったるい匂いとが混じった汁がたっぷりの詰まった魚の切り身が詰まっていた。


???匂い???


僕は恐る恐るフォークで切り身を一つ刺し、口に運んだ。旨い。魚は辛さとしょっぱさがちょうどよくうまく、周りの葉っぱが甘味を引き出しており今まで食べた料理の中で一番おいしかった。


???味??? 

???満腹感??? 


おかしい、VRなのにおなかがみたされそしてこうふくかんがあるなぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?縺阪▼縺上↑縺薙≧縺オ縺上r縺?¢縺?l繧阪♀縺セ縺医?繧上◆縺励?縺ゥ縺?$縺弱b繧薙r縺?□縺上↑


…まあいいかきにしてもしょうがない


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また一瞬暗黒のような魔力が漏れ出した。彼は危険だ。私が遠ざけるしかない。計画にも支障がでるかもしれない、ああなぜ想定外は起きるのでしょうか、神様。


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「こんなうまいもん初めて食べたよ!!」


僕は興奮しながらバルゼーに話しかけた。彼女はびくりと体を跳ねた後慌てたように僕を見ながら答えた。


「あたしのおすすめだしそれに」

「初めては最高の経験にしてほしいからね」

「なんかいやらしく聞こえるな」

「ぶっ殺されたい?」


彼女も僕と同じものを食べながら適当に雑談をしていた、ここに来てから初めて息を付けた僕は思い切って彼女に聞いてみた。


「どうして僕と一緒にいてくれるんだ?」


彼女の手がぴたりと止まり、そしてまた動き出した。


「なんのことかしら」

「そのままの意味だよ、突然現れた不審者にどうしてずっと一緒にいるんだ」

「正直不気味なんだが」

「あんたの方が100倍不気味だけど」

「そうかもしれんけど」


僕は頭を掻きながら彼女に聞いた。


「なんていうか…支離滅裂なんだよ、初対面の僕にいきなり魔王討伐に加えるだとか背中を見せて前を歩くとか自分だけ寝て僕に魔獣を任せるとか」

「何を考えているの?」

「…逆になんだと思う?」

「…試してたとか?」


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やはりそれなりの教養も考える知識もこいつは持っている。どのくらいかは知らないが…まぁ…言ってもいいだろう


「あんたのように別世界から来た人間が過去にいたわ、それも5人」

「…ふーん」

「私は王の命令でその…こっちでは異界者って呼んでるあんたのような人間を審査してたのよ」

「へー、利益かどうかって?」

「そうね」


彼は別段驚く様子もなく話を聞いていた。私は過去にこの世界に来た5人のことを話した。そのまま表れたところで魔獣に襲われ死んだ者、己の力を制御できず爆散した者、そして知らぬ間にいなくなり、死体となって見つかった者。話し終わるころには彼は少しは興味を持った目で私を見ていた。


「なんで別世界から来たってわかったんだ?」

「三つ理由があるわ、一つは何もないところから来た事、二つ目は今まで見たことのない衣装を着てたこと、三つめはこの世界に存在しない物を持っていたこと」

「存在しない物質って?」

「あんたたちの言葉でプラスチック、合成の宝石、原理が不明な動く絵」


彼は納得した様子で話を聞いていた。やはり別世界から来たものらしくこの言葉すべてを理解しているようだ。彼らと同じように原理までは理解してはいないようだが。


「それにしてもこわいねぇ、皆死んじゃったなんて…なんで俺は死んでないのかねぇ」

「多分魔力に適応できたんじゃないかしら」

「魔力?」

「今まで来た5人の体ははこっちの世界の魔力を毒性物質と判断して適応できずに死んだってのが検死からの推測なんだけど」

「検死…え」

「あんたは適応してるのよ」


彼は自分の体をまじまじと見た。


「見た目じゃわからないわよ」

「…なるほどね」

「どうして僕たちは呼ばれたんだ?」

「…さぁ、別世界なんてあたしたちの魔導学じゃ存在するかもしれないとしか進んでなかったし」

「神様がなんかやったんじゃないかしら」

「適当だね…」


なんで呼ばれたかは正直わからない、あたしが知らないだけでもうすでに別世界についてのことはある程度研究が進んでるのかもしれないし王、魔王が呼んだのかもしれない。あぁ…やることいっぱいあるのに…こいつどうしよう…


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「これもきっと神のめぐりあわせね」

「信仰深くは見えないけど」

「ともかく!」


彼女は手をパンと叩いて僕を見た。


「…私と一緒に魔王討伐に旅をしてくれない?」

「いいよ」

「えっ、いいの」


彼女はあっけらかんとした顔をしていた。そりゃゲームなんだから魔王討伐はメインクエストだろう、話が進んできた感じがして僕はワクワクしていた。


「異世界ときたら魔王を倒す勇者!これは王道だね、しかもその勇者は異世界から来た謎の存在!うーんベタだねぇ…」

「…勇者は別にいるけど」

「…そう」


じゃあ善は急げと僕は会計をすました。7000ホーンと少しお高めだった。空がいつもよりも青く感じた。ようやく冒険に行けるんだ。武器を買って防具をそろえてどんな技を使おうかと頭を悩ませるような冒険がいまから…!


「さあ旅に行こう!」

「その前に王にあうわよ」


僕はやる気を失った。

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魔女は二人で旅をしたい サメサメ伯爵 @Baron-Shark-Mouth2041

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