メカリザ編(5~9)

第5話 "へ!!?"

〜ヴァルコマ王国首都 “メカリザ”〜

(ジェイがメカリザにつく、夜になっている、キラキラした都会の街)

ジェイ『ハァハァ…やっと着いた』

(砂嵐がやってくる)

アル『遅ェぞ』

ジェイ『おめェが走らせたんだろ メシ食いてェ』

アル『後でな 皇帝が待ってる』


〜"メカリザ コロンダ宮殿"〜

(ジェイ・アルが部屋の真ん中に立つ、玉座に皇帝が座っている、大臣達・騎士達が周りを囲む)

「ジュリアン・ボナテーガ、地人(チビト)、大地の世界(ギュラン) 皇帝」

ジュリアン『ジェイ君だね 君のことはアルから聞いたよ』

ジェイ(押忍というポーズで)『ジェイ・アントニオです!! よろしくおねしゃす!!』

ジュリアン(明るい表情で)『力を操る持ち人(ホルダー)… 面白いじゃないか!!』

アル『暫定だがな』

ジュリアン『ジェイ君 君の力がどんなものなのか誰にもわからない 騎士としての実績もキャリアもない 君をただの若者だと思うのが現状だ 私だけではない 大臣たちも 騎士たちも そして国民のみなさんも』

ジェイ『うす』

ジュリアン 『ジェイ君 君が持ち人(ホルダー)だと信じてもらうには何が必要だと思う?』

(ジェイは考える)


ジェイ『人を守り続けること』

ジュリアン(真面目な顔で)『そうだ とにかく行動してそれを示せば誰もが認めざるを得なくなる …だがそれまでは苦しいこともたくさんあるだろう 君はそれでもやれるかい?』

ジェイ『もちろん おれは世界を守れればなんでもいい』

ジュリアン 『よろしい 明日電板配信で”電談”の発表を行う そこで君の任命式も合わせて行おう ブルートは準備を頼む』

「ブルート・タイゾーン、地人(チビト)、大地の世界(ギュラン) 情報大臣」

ブルート『かしこまりました』

ジュリアン(明るい表情になって)『あ そうそうジェイ君!! 君はアル君と邸宅で暮らすことになったから!! アル君 色々面倒見てあげてね』

ジェイ・アル(ジェイは驚いた顔・アルは嫌そうな顔)『へ!!?』

アル(嫌そうな顔で)『なんでコイツと…』

ジュリアン(笑顔で)『その方が面白いじゃないか!!』


〜"メカリザ 持ち人(ホルダー)邸宅"〜

(白く大きな建物、数名の騎士達が警護にあたっている)

(中は物が少なくスッキリしていて白とベージュで統一されている、本棚には本がたくさんある)

ジェイ(焼き芋を食べながら)『うわ めっちゃきれい』

アル『おれァ掃除が趣味なんだ 細かいことに気づけるようになるからな』『もしこの部屋を散らかすようなら てめェには土に還ってもらう…!!』

(ジェイが思い出す)

ジェイ『そういえば… “電板”って何だ?』

アル『映像をモニターに映し出すシステムだ 遠隔地の映像を繋いで映すこともできる』

ジェイ『すげー!!』

アル『学校にもあっただろうが』

ジェイ『んーあったような なかったような』

アル『ある そして”電談”ってのァまだ実験段階だが “電板”を小型化して音声のやりとりだけできるようにしたものだ これが実現できれば狼煙が必要なくなる』

ジェイ『ヴァンも走らなくてすむようになんのか?』

アル(ニヤニヤして)『そういうことだ』

ジェイ『さっさとみんなが使えるようになりゃいいのにな 騎士以外も』

アル『バカが まだ無理だ ”新金属”の量には限りがある』

ジェイ『“新金属”!?』


アル『”新金属”ってのァ金属の持ち人(ホルダー)が加工して作ったこの世界にない金属のことだ…!! 特に重宝されるのは3つ

❶大気を弾く金属(ハンパナイト)

❷どんな圧力にも耐える金属(ジョダンジャナイト)

❸発火し続ける金属(キエナイト)』

ジェイ(耳たぶを触りながら)『へー』

アル『そして”電板” ”電談”に使われるのは発火し続ける金属(キエナイト)… 通信に使われる電気は炎から作られ… その炎はこの金属で燃え続ける』

ジェイ(耳たぶを触りながら)『ほー』

アル『だが 発火し続ける金属(キエナイト)はホイホイ作れるようなモンじゃねェ だから”電板”は騎士関連の施設にだけ置かれてる』

ジェイ(耳たぶを触りながら)『へー』(ぷう)

アル『話聞きながら屁ェすんな!!』

ジェイ『すまん 次から音はさせねェ』

アル『そういう問題じゃねェ』


(次の日)

(人々がメカリザの広場に集まる、屋台が出ている)

人々『いやー楽しみですね!!』『次の時代の始まりじゃのう』

(ジェイとヴァンが歩いている)

ジェイ(焼き芋を頬張る)『んまあ まさか焼き芋の屋台があるとはね センスを感じる』

ヴァン『そろそろ戻らないと怒られますよ!!』

(各国各街の騎士関連施設に人々が集まる)

人々『これは海人(ウミビト)との争いにも使えるかもしれん』『またそんなことばっかり言って』

(ブン! 電板配信が始まる)

ジュリアン『会場にいるみなさま、遠くから配信をご覧のみなさま 電板配信をご覧いただきありがとうございます』

人々『始まったぞ!!』

ジュリアン(アップで電談の機器を見せながら)『みなさまご存知の通り 今回はこの”電談”についてお話します』

(時間が経つ、説明がおわる)

ジュリアン『"電談"により闇人(ヤミビト)そして海人(ウミビト)の動向に応じて 迅速かつ確実な対応が可能となります』


ジュリアン『私の世界を守る覚悟は揺るがない!!! これを必ず実現させます!!!』

(人々が歓喜する)

人々『おおおおおお!!』

ジュリアン『それともう1つ重大な発表がございます こちらへ』

(人々がざわつきはじめる)

人々『なんだなんだ』『デカイなあいつ』『あれ騎士養成学校の校長の息子じゃねェか!?』『あ アルさんだ』

(ジュリアン、ジェイ、アルが並ぶ)

アル『先日 この世界に歴史上確認されてねェ緑の精霊(スピリトス)が現れ コイツが力を継承した』

人々『え 持ち人(ホルダー)?』『すげえどんな力なんだ』『でもなんか怪しくない?』

アル『コイツが操るのは”力” 力の持ち人(ホルダー)だ』

人々『力って…』『本当に持ち人(ホルダー)なのか?』『でもアルさんが言うんだからそうかもな』

アル『おれも皇帝も…コイツ自身でさえも 力の事ァ何も把握できてねェ だがどうかコイツを』

(アルが頭を下げる)


アル(頭を下げている)『持ち人(ホルダー)として 任命させてもらえないだろうか』

ジェイ『…!!』

ヴァン『あのアルさんが……』

人々『え……』『マジか…』『…これは信じるしかないだろ』

(アルが頭を上げる、ジェイの方を向く)

アル『ではコイツから一言もらおう』

ジェイ『おれはジェイ この世界を守りてェからここに来た』『この世界を守るためならなんでもする 役に立ったかどうかはみんなが勝手に決めてくれ』

ジェイ(押忍というポーズで)『よろしくおねしゃす』

(パチパチ 拍手が鳴り響く)

(ジュリアンが前に出る)

ジュリアン『では これより』


(ジュリアンがジェイの方に手をあげる)

ジュリアン『ジェイ・アントニオを力の持ち人(ホルダー)に任命する!!!』

(人々の歓声)

ジュリアン『アル!!』

(アルが地面に手をかざす)

(ゴゴゴゴ 広場の地面が移動し始める)

人々『うわ!!!』『なんだなんだ!!』

(広場が広がり、人が集まる真ん中に巨大な砂の玉が出現する)

ジュリアン『さあジェイ 君の力を見せてほしい!!』

人々『デケェ…』『確かにアルさんのこれを壊せるなら…』

ジェイ『うす』

(ジェイの足に白い光が集まる、ビュンと飛び出す、宮殿の下にジャンプして降りる、着地ドン)


ジェイ(やばそうな顔)『やべ 出る』

人々『すげえあの高さから!!』『なんか白い光が出てるぞ!!』

パルクールのスタイルで広場を駆け抜けていく、人が集まっている場所に向かう、ジェイの足に白い光が集まる)

人々『白い光が足に!!』『速い!!』

(ジェイがジャンプして人の集まりを超えていく、体を回転させている、着地ドン、砂の玉の前につく)

ジェイ(やばそうな顔)『う 出るかも』

人々『すごい!!』『でもなんか顔が…』

(ジェイが全身に力を込める、全身が白く光る、拳を構える)

(ジェイが拳をかまそうとする 砂の玉に当たる直前)

ジェイ(やばそうな顔)『あ ダメだ』


(ぷーーーーう!!!! ジェイから勢いよくオナラが出る、力の能力で勢いよく拡散された)

(ジェイの近くにいる人からバタバタ倒れていく、電板撮影係も倒れて電板映像が空をうつす)

音声『何が起きてる!!』『オナラだ!!』『あの持ち人(ホルダー)が屁しやがった!!』『うわくっさ!!』『みなさん!! 騎士の指示に従うようお願いいたします!!』

(電板映像にヴァンが映り込む)

ヴァン『えー 第1騎士団のヴァン・ホーテンベルクです 申し訳ありませんが ここで本日の電板配信を終了とさせていただきます みなさまありがとうございました』

(ブン、配信が消える)


〜ヴァルコマ王国 “エディスピア”〜

モハメド『ジェイ…』

ティール『芋でも食い過ぎたのか?』

〜ヴァルコマ王国 “ミュンヴァルト”〜

(コロシアム、男のシルエット、椅子の肘掛けに肘をついて座っている、周りに騎士達が揃っている)

?『アルに頭下げさせるたァ 一体どんな奴なんだ?』

〜フロリシス王国首都 “パリベル”〜

(音楽ホール、男のシルエット、女のシルエット、他の観客もいる)

?『いやあ スパイシーだね 彼』

?『ほんと いいカラダしてたわ』

〜カシュミリ王国 “モスコリア”〜

(研究室、大爆笑する男のシルエット、女のシルエット)

?『アーハッハ!! オナラでワタシたちの開発発表 霞んだんじゃナイ!?』

?『爆発してしまえ』

(翌朝、持ち人(ホルダー)邸宅、アルが新聞を持ってきてジェイに見せる)

アル(ニヤニヤしながら) 『小僧 てめェ一面だぞ』

ジェイ (記事を見て青ざめる) 『へ!!?』

「”屁の持ち人(ホルダー)現る”」

ジェイ『最悪………』

アル『カッカッカ!!!』

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