Scenario〈ゴブリン要塞〉

第1話 無駄じゃなかった

 暗転した視界が開けた時、そこは中世風な街並みが広がる場所だった。遠くには王城が見えるから、ここは王都だろう。

 周りでは人々NPCが普通の日々を送っている様子が見て取れる。そういえば突然現れたプレイヤーに対して特に反応がなく、驚かないのはそういう神託ご都合主義云々があったお陰らしい。

 そんな風に辺りの観察とかしていたら突然システムの通知が届いた。


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称号【タイムアタック・SPスペシャル】を獲得しました。

名声値5を獲得しました。

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 うん、なにこれ。

 取り敢えず確認のために思考入力でステータス画面を呼び出す。そして自分の能力をざっと流し見たら称号を確認する。


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名前:ナコト

種族RACE:人間

職業JOB:魔毒の暗殺者

性向KARMA:中立/中庸

称号:【タイムアタック・SPスペシャル

レベル:1


HP生命力:60

SPスタミナ:100

MP魔力:70


STR筋力:28 (+8)

DEX器用さ:28 (+3)

VIT耐久力:18 (+8)

AGI敏捷性:40

INT知力:10

MND精神力:30 (+5)

LUK運の良さ:10

CHA魅力:10

STPステータスポイント:0


スキル:〈短剣術Lv.1〉〈毒魔法Lv.1〉〈気配察知Lv.1〉〈気配遮断Lv.1〉〈暗視〉

SKPスキルポイント:0


名声値:5

所持金:2,000G

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称号【タイムアタック・SPスペシャル

取得条件:本ゲームのサービス開始から1分以内にログインしたプレイヤー全員

取得ボーナス:1,000ゴールド、アクセサリー[風切り羽]を獲得する。

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アクセサリー:風切り羽

効果:装備者のAGI +10


説明:青緑色をした鳥の羽根。何の鳥かは分からないが、持ち主に疾さを与える魔法が付与されている。

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 おお!最初にやった茶番みたいなのが無駄じゃなかった!

 それにしても変な条件だな。サービス開始から即座に遊べる人しか手に入らない称号って、公平性とかそのへん大丈夫なのか?

 所持金が2倍でスタートするし、このアクセサリーもこんな最序盤で+10の差は大きいと思うんだが…


 そこら辺の心配は運営がなんとかするか。それじゃあ、早速手に入ったアクセサリーの[風切り羽]を装備する。

 だけどさぁ…装備枠ちょっとばかし変じゃないか、これ。


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武器1:魔毒のダガー(STR +8、毒属性)耐久:550

武器2:

頭防具:

胴防具:暗殺者のコート(VIT・MND +5)耐久:300

腕防具:

∟指装備:防毒のリング(毒耐性Lv.1)耐久:150

腰防具:革のベルト(DEX +3)耐久:100

足防具:革のブーツ(VIT +3)耐久:150

装飾1:風切り羽(AGI +10)

装飾2:

装飾3:

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 基本はね…よくある感じで普通だったんだ。でも、指装備ってなんだよ!装飾枠にすればいいじゃないか!意味がわからないよ。しかも胴防具から背中装備が発生するみたいだし…何で装飾枠にしないんだよ!

 もうこれはそういうものだと思っておかないと。

 それはそうとして指装備の[防毒のリング]の性能良くない?職業によって最初の装備変わるっていうのは知ってるけどここまで便利そうな物になるんだなぁ。


 あ、どうせなら今のうちにスキルについても見ておこうかな。

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スキル〈短剣術Lv.1〉

短剣装備時に与えるダメージがLv×5%増加する。

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スキル〈毒魔法Lv.1〉

発動体なしで魔法を使用可能。

毒属性の魔法を作成・行使できる。

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スキル〈気配察知Lv.1〉

自分を中心に(Lv×5)m内の生物の気配を察知します。

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スキル〈気配遮断Lv.1〉

自分が発する気配を(Lv×5)m遮断します。

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スキル〈暗視〉

暗闇の中でも昼間のように物が見える。

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装備スキル〈毒耐性Lv.1〉

状態異常・毒になる確率が(Lv×5)%低下し、毒による継続ダメージが(Lv×5)%軽減される。

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 なるほどね。こういう効果のスキルなのか。あ、魔法に関しては良く分からないから公式サイトとヘルプ機能を活用して大体半分くらい覚えてみようと頑張った。

 けど、小難しい話魔法言語が云々と固有名詞が多くて、2割くらいしか分からなかった。


◇◇◇



 ステータスやら装備、魔法に関する説明の確認を一通り終えた僕はマップを見ながら街の外にあるフィールド〝兎月の草原〟に向かっていった。

 公式から最序盤にオススメの狩場だって紹介されたからね。僕は他人の言うことは都合が良ければ従うタイプの人間なので。

 敏捷が高いと普段の移動速度もなんとなく高くなるみたいであっという間に目的のフィールドに到着した。


 名は体を表す。兎月の草原は昼は平均レベル2程度のウサギ型モンスターしか出ない平和なフィールドだ。

 まず最初に気配察知で周囲を確認してみる。なんか人がいるなぁ〜て感じがする。マップを見てみると生物がいそうだなと思った場所に点が出ている。

 ので一番近くの点に向かって気配遮断を使って微妙に影が薄い感じになりながら移動していく。


 点があった場所にはウサギ型のモンスター(レベル1)がいた。まだ気づかれていないみたいだから背後を取ってバックアタックを仕掛ける。


「――ッ!」


「ピギュ!」


 おおぉ、一撃で倒せた。こういうのに補正があることは知っていたけど一撃で倒せるんだな。レベルが同じだったってのもあるのかな。

 さて、今日の目的は飽きるまで延々とウサギを狩り続けてレベリングだな。


 よーし、目に付くウサギ全部狩ってやる!頑張るぞー!!

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