第10話【洞窟】

翌日アントラは、レイズとアルテミシアを連れ…街の山奥に連れて行った。

周りは、獣道やうねるような木々がなっていて人が通る道ではない。

だが、アントラ達は歩みを進めていく。


アルテ「…ねぇ、この道…どこまで進むのっ……?(息切れを起こしながら)」


レイズ「…昔は…こんなっ…でこぼこした道なんて…なかったよ…。」


アントラ「2人とも頑張れ!あともう少しだ。(平気そうな声で)」


アルテ・レイズ「……無理っ!!」


なんだかんだ言ってたものの、多くの木々を抜け…ようやく目的地に辿り着く。

目の前にあるものは、ツルが伸び…まるでカーテンのように覆われた

大きい洞窟だった…。



レイズ「…はぁ…はぁ…疲れたぁ……」


アルテ「…ここが…目的地ですかっ…。薄暗い…洞窟にしか見えませんが…。」


アントラ「…ここに来れば、なにか分かると思ってね。」


レイズ「…この洞窟…!懐かしいなぁ…。」


アルテ「…レイズはこの洞窟を知ってるの?」


レイズ「知ってるのなにも…ここは、僕とアントラ様が初めて出会った場所さ。まぁ…数百年前は、あんな獣道じゃなかったんですがね。(笑)」


アルテ「…すっ、数百年…!?えっ!?」


アントラ「…驚くのも無理はない。我々ツノ族は、元々は短命だ。

それは、1ヶ月もここに暮らしてれば分かったはずだ。」


アルテ「…確かに…。(少し思い出しながら納得する)」


レイズ「…でも、不思議に思ってたでしょ?僕達が、容姿も姿も変わってない事にさ。それに……。」


アルテ「…それに…?」


レイズ「アントラ様なんて…僕達より『歳の割には』は…元気だろ?(笑)」


アルテ「確かに!!」


アントラ「…聞こえてるぞ、レイズ。歳の割には……なんだってー…?((圧」


レイズ「ひぃっ!ごめんなさい!」



アルテ「(仲がいいな……あの人たち。)」



アントラ「まぁ…とりあえず、洞窟の中に入るぞ。暗いから、私から離れるんじゃないぞ。」


こうして…アントラ、レイズ、アルテミシアの3人は、洞窟の中に入って行きました。

周りは暗く、所々に水の音が響き渡っていた。



アルテ「…ほんとに暗くて…なにも見えないわ…。」


レイズ「ほんとに…。でも暗くても進めるアントラ様も凄い……。」


アントラ「この道は、昔から知ってる道だからな。感覚でわかるよ。」



そうこうしてるうちに、一筋の光が見え…先に進んで行くと…

そこには、無数の花畑に…真ん中には光が指すように大きめの岩が乗っている。



アルテ「…わぁ…素敵な場所ね……。」


レイズ「そうでしょ!?ここでアントラ様と出会ったんですよ!」


アントラ「…そうだったな…懐かしい思い出だ…。でも不思議だ…数百年経った今でも、こんなにも当時のままとは……。」



そういうとアントラは、探し物をするかのように花畑に入っていく。


アルテ「アントラ待って…!(追いかけようとする)」


レイズ「アルテ、危ないっ!!(花畑から引きずり出す)」


アルテ「…でも、アントラがっ…。」


レイズ「…アントラ様は大丈夫だよ。この花畑に入れるのはアントラ様だけなんだよ。むやみに僕達が入ったら、奈落の底さ。」


アルテ「そうなんだ…。」


レイズ「…僕達はここで待とう。あ、僕達が出会った頃の話を聞きたくないかい?」


アルテ「…聞きたい!」


そういうと2人は、近くの大きい石に座った。



レイズ「…そう、あれは数百年前の冬になるな……。」


レイズは静かに昔話を話し始めた………。

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