第8話 【魔女】

翌日、アントラはアルテミシアを連れ、街に出かけることになった。

アルテミシアの服を買いに行くためだ。


レイズ「…本当にお2人のみで、大丈夫なのですか?僕、心配なのですが……。」


アントラ「大丈夫だレイズ。ただこの子の服を買いに行くだけだ。」


レイズ「…そうですけどぉ。アントラ様、くれぐれも昔の様な行動は…!!」


アントラ「…わかってる。昔みたいに暴走したら【戻れなくなる】って言いたいのだろう?……では、行ってくるぞ。」



レイズ「…行ってらっしゃいませ。」



こうしてアントラとアルテミシアは、街に出かけて行った。



街に着くまで森の木々を歩いてる時、

アントラはアルテミシアに気になった事を聞いた。



アントラ「アルテミシア。」


アルテ「な…なんですか…?」


アントラ「…君の肌身離さず身につけている、そのペンダントは…。一体、誰からもらったんだい…?」


アルテ「これは……」


アントラ「…あ、すまない!思い出したくなければ…無理には聞かないよ。」


黙り込むアルテミシアに、焦ったアントラは優しくフォローする。


しばらくすると、アルテミシアは足を止め…

重い口を開く。


アルテ「…このペンダントは、母様から頂いたんです…。

私は赤ちゃんの頃…母様に拾われました。色々教えてもらいました。

でもある日、母様は……。」



その後アルテミシアは、涙ぐみながら再び黙り込んでしまった。

アントラは申し訳なかったと思い、アルテミシアを近くの木の根元に座らせ

優しくアルテミシアの頭を優しく撫でた。



アントラ「…すまなかった。嫌な思い出を話させてしまって。」


アルテミシア「(涙を拭い)いえ…大丈夫です…。」



するとアントラは、アルテミシアの横に座り…自分の事を話始めた。


アントラ「…実はな。私も、昔は1人だったんだ。ずっと…はるか昔にな…。

でもある日、1人の【魔女】が私の元に来たんだ。

…そう、ちょうど君と同じペンダントを付けた人がね。

それはそれは…毎日来たよ。しつこい程にな。私のツノをくれってな。

理由を聞いたが、『儀式』に使うの一点張りさ。

あまりにもしつこいから、ツノを渡したよ。」


アルテ「…その魔女さんは、その後どうなったの?」



アントラ「…ぱったり来なくなってしまったよ。

でもその後に出会ったのが、レイズだ。あいつは、兄弟や親も居るのに

私に付いていくと聞かなかった。」


アントラは、レイズの話をし始めた途端、笑みを浮かべながら話した。


アルテ「…そうだったんですね。」


アントラ「…そろそろ歩こう。もうすぐ街に着く。」


アルテ「はいっ…。」

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