第2話 【人外と少女】
(語り人)
森を抜け、街に出たアントラと脊属のレイズの2人は、買い物をする事にした。
レイズ 「アントラ様、今日は珍しいですね。街に出るなんて…。」
アントラ 「… 不足している物があるからな、それを買いに。」
レイズ「(アントラの前に向き、誇らしそうに)だったら尚更、脊属である私に頼ってください!!私が買いに行って参
りますから!」
アントラ 「(首を傾げながら)… あ、椅麗な女が居る。((ボソッ」
レイズ「えっ!?どこ!?どこに居ますか!?(きょろきょろと左右見ている)」
アントラ 「(少し笑みを持ったロ調で)レイズには、やっぱり頼むのは無理だな。」
レイズ 「だ、騙しましたねぇ!?酷いですっ!!(不貞腐れる)」
アントラ 「あはは……すまんすまん。(笑いながら)」
笑われてしまったレイズ。すると彼は、とっさの行動を取ったのです。
レイズ「…もういいです!アントラ様は、こちらでお待ちください!!」
そう言うと、アントラの持っていた袋を奪い取った。
アントラ 「(動揺しながら)お、おいっ!それをどうする
んだ?」
レイズ「決まってるじゃないですか!アントラ様の為に、買い出しに行きます!!(目を輝かせながら、誇らしそうに)」
アントラ 「レイズ、お前なぁ… (何かを言いかけるがレイズに遮られる)」
レイズ 「大丈夫ですって!任せて下さい!!」
レイズはその言葉を残し、買う物の内容も聞かず
姐爽と駆け抜けて行ってしまいました。
アントラ「(ため息)… 全く、世話が焼けるな、レイズは。」
レイズが駆け抜けて行った道を、アントラが追いかけて歩いていると
何やら近くて騒がしい音が…。
アントラは、群がっている所に入り込むとそこには…
レイズ 「おいっ!!離せよっ!離せってば!!」
『これはこれは…、随分と状態の良い技角のツノだぁ!高値で売れるぞー!』
レイズは、人間のツノ狩り達に捕まってしまっていた。
枝角をツノ狩りに捕まれ、身動きが取れないでいる。
ツノ狩りの腰には、ツノを簡単に切り落とせるぐらいの刃物を持っている。
レイズ 「離せっー!このっ!!人間めっ!!」
レイズは、必死に抵抗したが、ツノ狩りにはビクともしない。
『威勢がいいなぁ。大丈夫、すぐに楽にしてやるよ。』
アントラ 「レイズっ!!!」
ツノ狩りが、腰に着けた刃物に手を掛けた時、アントラは前へ出ようとした。
その時、
ツノ狩りの背後から
1人の人間が勢い良く押し倒したのだ。
『痛ってぇ!!!』
ツノ狩りは、派手に倒れ…… レイズのツノを捕まえていた手を離す。
アントラ 「(心配しながら)レイズ!!無事か!?」
レイズ 「(アントラを見つめ、泣きながら)アントラ様あ~。
怖かったですぅ~。」
アントラ 「…… でも、あのツノ狩りを押し倒した…あの子……同じ人間のはず……。」
アントラは、レイズを慰めながらも、
先程のツノ狩りの人間に目をやると…
先程の人間が、ツノ狩りの落とした金貨を拾っていた。
先程の人間に比べると、小柄で髪がぼさぼさしているが長い。
アントラは、あの子は人間の少女だと理解した。
アントラ 「(首を傾げながら)… でも、おかしいな。 人間の少女が居るなんて…」
レイズ 「…アントラ様?どうなされましたか?」
アントラ 「… あ、いや…なんでもない。買い出しの続きをしよう。」
レイズ「はい…?」
アントラは、人間の少女が気になりつつも…その場を後にした。
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