店の繁盛は、明らかにルシアンの手腕によるものだった。新しい商品ラインの導入や効果的な広告、さらには商人ギルドとの微妙なバランスを保ちながらも関係を築き上げたこと。すべてが店の成功を支えていた。

その夜、閉店後の静けさの中で、ルシアンとマリーアは売り上げの記録を確認していた。目の前には日ごとに増えていく数字が並び、マリーアは感嘆の声を漏らした。

「こんなに売り上げが伸びるなんて、正直夢みたいだわ。全部、あなたのおかげね、ルシアン。」

「ありがとう。でも、成功は僕たち二人の努力の結果だよ。」ルシアンはそう言いながらも、心にある一つの考えを伝える決意を固めた。

「マリーア、少し話したいことがあるんだ。」ルシアンの真剣な表情に、マリーアも自然と背筋を伸ばした。

「どうしたの？」

「店の利益についてのことだよ。この成功の半分は僕の提案と運営が支えていると自負している。だから、今後は店の利益の半分を僕にもらえるようにしてほしいんだ。」

その言葉に、マリーアは少し驚いた表情を見せた。

「それは…当然のことよね。むしろ、今までの貢献を考えれば、もっと早く提案すべきだったかも。」

「本当にいいの？」ルシアンは少し眉を下げて尋ねた。

「もちろんよ。あなたがいなかったら、この店はここまで大きくなれなかったもの。」マリーアは笑顔で答えた。

ルシアンはその言葉に安堵しながらも、彼女を見つめる視線が自然と変わっていくのを感じていた。

目の前のマリーアは、仕事の上での信頼できるパートナーであると同時に、女性としての魅力を持っている。彼の若返った体は、初めて女性の香りや仕草に敏感に反応し始めていた。

ルシアンは仕事の後、自然とマリーアに近づく機会を増やしていた。軽い冗談や、さりげない距離の縮め方。彼にとって、それはかつての人生では味わったことのない新鮮な感覚だった。

一方で、マリーアも彼の変化に気づきつつあった。普段は冷静で合理的なルシアンが見せるさりげない優しさや、たまに見せる少年のような笑顔。それらは彼女の心を少しずつ揺さぶり始めていた。

ある夜、いつものように閉店作業を終えた後、ルシアンはマリーアに声をかけた。

「今日はよく頑張ったね。疲れてない？」

「少しだけ。でも、充実感のほうが大きいわ。」マリーアは微笑みながら答えた。

ルシアンは一瞬躊躇しながらも、思い切って言葉を続けた。

「マリーア、もしよければ、少しだけ一緒に話をしない？最近のこととか、色々話したいことがあって。」

その後、二人は店の裏手にあるベンチで並んで座り、話を始めた。仕事の話から日常の些細なことまで、話題は尽きなかった。しかし、会話が続くうちに、二人の間に漂う雰囲気は徐々に変わっていった。

ルシアンはふとした拍子に、マリーアの手に触れてしまった。彼女は一瞬驚いたものの、手を引くことなくそのままルシアンの目を見つめ返した。

「マリーア…」ルシアンは低い声で彼女の名前を呼んだ。

マリーアは何も言わず、ただ目を閉じた。その瞬間、二人の距離は一気に縮まり、気づけばお互いを求めるように抱き合っていた。

その夜、二人は理性を忘れ、感情の赴くままに関係を深めていった。ルシアンにとって、それは彼の新しい人生で初めての特別な瞬間だった。そして、マリーアにとっても、それは自分の中に芽生えた新たな感情を受け入れる覚悟を決めるきっかけとなった。

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