手記と副産物

 スマホにナビに従って目標視点のすぐ側まで来た。

「後少し」

 顔を上げると、微かに見えてくるのはビル群。

「誰かいるのかな?」

 砂漠を進んでいくと見えてきたのは廃墟となったビル群だった。

「これは誰も住んでなさそうだな」

 そう言いながらも中へと入っていく。

 中まで砂が侵入していて、あらゆるところが砂を被っていた。

「うわ!?」

 進んでいくと、逃げ遅れた人が白骨死体となっていた。

「これは生きてる人じゃないな……」

 何かの痕跡を探してビル内を散策するが、これといった手掛かりも見つからない。

「簡単には見つからないのか」

 地下室へいき、散策していると1つの手記を見つけた。

「これを見つけた人へ?」

 ――これを見つけた人へ。

 これを読んでいるということはここへ逃げてきた誰かなのだろう。俺はもうすぐ死にそうなので現状を残すことにした。食料と水は俺のすぐ側に置いてあるからそれで生き延びてくれ。ここに放射線が来るかどうか分からないが、頑張って生き延びてくれ。

「食料と水は…」

手記の近くには食料も水も無く、あるのは空の2Lペットボトルだけだった。

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